MC古舘伊知郎「脳内の免疫力を高める番組」

ニュー試~世界の入試で未来が見える!~

7月1日(土)スタート 毎週土曜[Eテレ]午後9:30~10:00

MC:古舘伊知郎(声の出演:厚切りジェイソン)


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放送から1週間は見逃し配信をします(NHKプラス)

計算式や読み解き問題だけじゃない! 世界トップ大学の最新の入試問題を紹介し、難問に挑戦する番組「ニュー試」が、7月1日(土)からレギュラー放送に。

問題や採点の極意を追究すると、その国が大切にする教育の姿も見えてくる!? アメリカのハーバード大学や、カナダのマギル大学、韓国のソウル大学などなど…。意外な難問を楽しみながら、これからの社会に求められる思考力や創造力、論理力が身に付くコツもお伝えしていきます。

司会は、スポーツ実況者として数々の名言を世に残し、現在は立教大学客員教授でもある古舘伊知郎さん。番組の魅力や見どころをお聞きしました!

この番組って変な番組なんですよ

──世界の入試問題を取り上げることについてどんな感想を持たれましたか?

ここ何年か、NHKも民放も「右へならえ」で変な番組が少なくなってきましたよね。でもやはりテレビとは、どこか良識的でどこか非常識的、乱暴さとお行儀の良さが交錯しなきゃおもしろくないと思うんです。

この番組は、アメリカのハーバード大学の、筆記テストだけでは判断できない入試問題や、カナダのマギル大学の特色のある入試問題を、東大在学中に起業された松丸亮吾さんや、芸人の福田麻貴さん、アイドルやタレントなどのゲスト解答者たちとともに、たった30分で追究していくんです。

それでいて、ちゃんと日本の教育を考えようともしている。国の行く末を見据えようとするすごく大真面目なビジョンを抱えていながら、縁もゆかりもない他国の大学入試のことを一生懸命、真剣に追究している。これはやはり“Eテレ”じゃなきゃできない番組だと思うんです。すごく大事なことをやっているなと思う一方で、とっても変な番組だなと思いますね。

これが入試問題!?

──番組で取り上げる入試問題は、ユニークなものからドキッとする難問まであります。出演者の解答もかなり練られていますよね?

番組でピックアップするいくつかの問題に、僕はあきれるぐらい感動しています。ハーバード大学(7月1日放送)の入試問題は、リーダーの素質を問うようなエッセーを書きなさいだとか、マギル大学(7月8日放送)では、「キャスパーテスト」と呼ばれる人間性を見極めるテストを実施しています。

名門大学の試験というと、難解な数式を解いていくみたいなものを想像しがちですが、世界の入試問題を見ていくと、大きな共通点が分かってきました。学力が優秀で処理能力の高い人材というより、“良い人”を取ろうとしているんです。相手の立場に立って考えられる人、グループの全体が見られる人、そして相手にストレートには伝えづらいマイナスな面を適切に伝える能力のある人など、「あなたならどうする?」と言わざるをえない局面を入試で突きつけるんですよ。その大学がどんな人間を育成したいのかという意気込みや情熱も感じられるし、ひいては人材育成という“国家百年の計”みたいなものもちょっと見えるんですよね。

個人的に感動したのは、ソウル大学(7月15日放送)の回。ゲスト解答者の一人、本髙克樹さん(7 MEN 侍)の解答がすごかった。「ミスター・ロジック」! 「ミスター・起承転結」!! 自分の角度で物事を見定めながら、相手側から照らしてみた場合、相手に自分を投影した場合、あらゆる見方で入試を解いていくんです。それを数学的な目線で、ですよ。「若いのに」という固定した物差しを捨てて見てほしいなと思いましたね。

本髙克樹さん(7 MEN 侍)のすごかった解答とは?

脳内の免疫力を高めよ!

──古舘さんが10代に求めるものはなんですか?

僕は立教大学の客員教授をやらせてもらっていますが、まずは「スキルを捨てろ」と偉そうに毎週言っています。どうしても世の中はスキルに向かいがちです。面接スキル、プレゼンスキル、パワポスキルとか、対人関係スキル、何でもかんでもコスパ(コストパフォーマンス/費用と能力を比較したものを指す言葉)とタイパ(タイムパフォーマンス/かけた時間に対する満足度を指す言葉)の時代に入っています。

その中で、正解と不正解をきれいに分けたがるんですね。でも、世の中は正解も不正解もなく、答えが一つじゃないことがたくさんあります。この番組は、ただ一つの答えを導くような入試問題はあまりご紹介しないんですよ。ここがいいなと思って。

最近思い出すのが、僕の高校の校長だった人が卒業のときに教えてくれた「大学の4年間、あなた方は海を見に行く自由を獲得したんだ」という言葉です。現代は、ありとあらゆるぼーっとする時間が排除されて、情報の受け身ですよね。だからこそ、一度非生産的な時間、効率の悪い時間をあえて作り、答えが出ないものと向き合うことは大事だなと。脳内の免疫力を高めよ、とでもいいますか。その中で、結果的にスキルが磨かれていくこともあると思います。“自分の中にウサギとカメを両方飼え”じゃないですけど、そんな思いでこの番組をやらせてもらっています。

これがソウル大学の入試問題だ!

──視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。

番組で取り上げる入試問題の中には、明らかにコスパが良くて情報処理能力の高い人だけが優秀というわけではないよというメッセージが隠されているんです。そこがおもしろいと思いますし、頭がいいとはこういうことなんだという固定観念がどんどん崩されていくんですね。自分が思い描いていたストーリーって誰しもがあると思いますが、それを更新していくことこそが人生だと思うので、それに気付くきっかけにしてもらえたらいいですよね。僕も己の固定観念を崩していかないと“思考の加齢臭”が出るだろうと思っているので、番組で気付かされたことはどんどん吸収していきたいと思っています。

ゲスト回答者が入試問題に本気で挑む!

解答者 :松丸亮吾(謎解きクリエイター)メッセージ

「世界の入試問題で未来が見える」というコンセプトがおもしろいなと思いました。実際に番組で問題を解いてみると「世界の入試ってこうなってるんだ」という発見がありますし、日本の大学でも世界の入試を参考にしたらもっとおもしろい個性や、今まで見過ごされていた才能が発掘されるんじゃないかなと思います。
実社会で重視されていく能力は、人間性や社会性や個性といった部分だと思うので、日本の入試も科目学習(いわゆる「国語・算数・理科・社会・英語」)の習熟度を試す問題じゃなくて、自分が経験した課外活動や自分の好きなことに対するプレゼンテーション、他者とのコミュニケーション能力などを評価する試験が必要とされていきそうですよね。学歴って何なんだろうなと改めて僕も思っていた時期だったので、この番組のコンセプトに共感できます。日本の学力の測り方も今後変わっていくのかなと思っています。

日本に限らずだと思いますけど、ネット社会になってからはウソの情報を鵜呑うのみにしたり、建設的な議論ができなくなっている人が多いなと思っていて。頭ごなしで何かを批判したり、正しいか正しくないかの二択でしか物事を捉えられない人が増えている気がするんです。本来は、お互いに意見を出し合って「ここは私が間違ってるな」「でもあなたもこういうところが違うんじゃないかな」といったことを正しく会話していけたら暴言は出ないはずだし、人の視点に立って物事を考えたほうが良い議論ができるじゃないですか。
この番組は、入試を控えて受験勉強している人はもちろんですけど、いま大学に通っている学生さんたちにも見てほしいです。受験は全員が第1志望に受かるわけじゃないので、第2志望や第3志望の大学に入った人もたくさんいると思うんですが、第1志望に入れるかどうかは人生を大きく決めるものじゃなくて、そこから「ニュー試」で紹介されるような問題をどれくらい埋められる人生を送れるか、解答欄にどれくらい書き込めるようになるかが大事だと思うので、そういう人にも見てほしいですね。

難しい入試問題にみんなで挑戦!

【7月のラインアップ】

7月1日(土)「アメリカ・ハーバード大学」

ゲスト:福田麻貴(3時のヒロイン)、松丸亮吾、蓮見 翔(ダウ90000)

各界のトップリーダーを輩出し続ける名門ハーバード大学の入試に挑戦。問われているのはズバリ、あなたの「リーダーとしての素質」。


7月8日(土)「カナダ・マギル大学」

ゲスト:高橋茂雄(サバンナ)、福田麻貴(3時のヒロイン)、松丸亮吾

患者に寄り添う医療研究の先進地として知られるマギル大学医学部の入試に挑戦。「医師として必要な人間性」を丸裸にするキャスパーテストとは?


7月15日(土)「韓国・ソウル大学」

ゲスト:千原ジュニア、福田麻貴(3時のヒロイン)、本髙克樹(7 MEN 侍)

しれつな受験戦争で知られる韓国。そのトップオブトップの大学入試に挑戦。ソウル大学が求める「グローバル融合人材」を見いだす入試とは?


7月22日(土)「インド・インド工科大学」

ゲスト:中田敦彦(オリエンタルラジオ)、福田麻貴(3時のヒロイン)、松丸亮吾

世界の名だたる企業で活躍するエンジニアを多数輩出するインド工科大学。「超高速の数学処理能力」を問う入試問題に挑戦する。

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