植物学者・牧野富太郎の冒険をたどる利尻山&横倉山の旅

牧野富太郎の大冒険〜天空の花園と神秘の森 愛と情熱!植物探究の旅を追体験!〜

9月23日(土・祝)[BSプレミアム]午後6:00~7:29

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未知なる植物を求め、日本各地を調査して歩いた植物学者・牧野富太郎。
連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデルにもなっている牧野博士の人生は、まさに冒険そのものでした。

この番組では、牧野博士が41歳のときに訪れた北海道・利尻島での植物採集の様子を紹介。
「らんまん」の出演者・松坂慶子さん、いとうせいこうさんと共に、雄大な自然を巡る大冒険を追体験します。
また、牧野博士の故郷・高知県では、同郷のミュージシャン・七尾旅人さんが、若き日の博士がたびたび足を運んだ横倉山に登り、博士が愛した“神秘の森”の魅力を体感します。

今回は、8月に総合テレビで放送した29分版から、さらにスケールアップした89分の拡大版。
その見どころを、荻野太朗プロデューサー(以下、荻野P)と神保知彦ディレクター(以下、神保D)のコメントを交えて紹介しながら、松坂慶子さんからのメッセージもお届けします!

  

“天空の花園”利尻島で未知の植物を求めて決死の登山

日本のすべての植物を明らかにしようと、日本列島を北から南までくまなく周り植物採集を行なった牧野博士。
博士が訪ねた地で最北端となるのが北海道の利尻島です。島にそびえる利尻山は、高山植物の一大宝庫。今から約120年前、41歳のときに利尻島を訪れた牧野博士は、この多様な植物が息づく“天空の花園”で植物採集をし、271点もの植物標本をその場で作成しました。

牧野博士は、利尻山で時が経つのも忘れ植物採集に没頭、ついには、防寒着などの充分な備えもないまま山中に残る決断をします。無謀ともいえる冒険の果てに博士は、一体どんな発見をしたのでしょうか?

「らんまん」にも出演した松坂慶子さんといとうせいこうさんが、東京・練馬の牧野記念庭園でVTRを見ながら利尻島の旅を追体験。
神保D取材メモ

利尻山はかなり低い地点から高山植物が自生していて、本州の山々とは植生がだいぶ違うんだなというのが最初の印象でした。牧野博士の記録によると、当時は麓(ふもと)の丘だけで25種類もの植物を採集しています。牧野博士も、本州との植生の違いに相当興奮したのではないでしょうか。

博士は採集した植物をその場ですぐに標本にするので、相当な時間と労力を要したと思いますが、一切妥協することなく夢中で山の中を歩き回ったといいます。結果、標高1,200メートル付近でふもとに引き返さないと日没に間に合わない状況に陥り、その場で一晩過ごす判断を下しました。撮影スタッフも同じ場所にある小屋で一夜を過ごしましたが、夏場にもかかわらず朝晩はダウンを着込んでいても結構寒いんですよ。博士はシャツ一枚で一晩を明かしたそうなので、かなり寒かったんじゃないかと思いますね(笑)。登山の常識では考えられない危険な行動です。

なぜそんな危険を冒してまでも、博士が山頂を目指そうとしたのかーー。
その原動力は、「すべての植物を明らかにしたい」という情熱だったと思うんです。自分は当初、博士は新種を発見するために利尻島を訪れたのだと思い込んでいましたが、新種を見つけるのが主目的ではなく、島全体の植物相を調査するのが一番の目的だったのだと、今回の取材を通して感じました。飽くなき探究心と情熱が、地元の方の心をも動かしたのでしょう。
牧野博士は良くも悪くも振り幅が極端で、とても多面的で深みのある方なので、ご覧になる方々それぞれの解釈で、博士からのメッセージを味わっていただければと思います。

牧野博士が利尻山で発見した「ボタンキンバイ」。山頂付近に広がる花畑はまさに絶景。
荻野Pの見どころ解説

高山植物の宝庫である利尻山は、植物好きであれば一度は行きたいと願う場所。でも、急峻な山なので、体力面のことを考えると気軽に登れない方も多いと思うんです。今回の番組では、博士が残した登山日誌をベースに、地元の登山ガイドの方に牧野博士が当時登ったコースを案内していただき、松坂さんといとうさんには、映像を通して視聴者の皆さんと同じ視点で追体験していただきました。

何よりご注目いただきたいのが、牧野博士が過酷とも思える登山の中で作成した植物標本です。博士は約5万5千点もの標本を自ら作成しましたが、その美しさは他に類を見ないと言われています。なぜそれほどたくさんの標本を美しく残したのか? 利尻島で採集された標本を紹介しながら、博士の研究の神髄と人物像にも迫ります。

牧野博士が利尻島から持ち帰った新種、ボタンキンバイの標本。画面の標本を含め7点の標本を残しています。1種類の植物をいくつも標本にしたのはなぜなのでしょうか?

牧野博士が少年時代から通った “神秘の森”横倉山の魅力

牧野博士の植物学者としての才能をはぐくんだのが、故郷・高知県の大自然。
中でも、越知町の横倉山は約30もの新種を発見し、植物学者として羽ばたくきっかけとなった縁の深い山です。

アカガシの原生林が残り多様な自然が広がる“神秘の森”で、牧野博士は植物とどんな対話をしていたのか。
高知市出身のミュージシャン・七尾旅人さんが、博士が少年時代から何度も足を運んだ横倉山を歩きます。

横倉山をトレッキングする七尾旅人さん。
神保Dの取材メモ

七尾旅人さんは、お父様が牧野博士の大ファンで、子どものころから高知市の牧野植物園にも何度も連れていってもらったことがあるそうなんです。そんな七尾さんに、博士が生まれた佐川町や、隣町の越知町(おちちょう)にある横倉山を旅していただき、若き日の博士がどんなふうに植物の世界に魅了されていったのかを、七尾さん独自の視点で紹介してもらいました。

牧野博士と高知の自然の魅力を、感性豊かな七尾さんならではの繊細な表現で語られていますので、そこはぜひ注目いただけたらと思います。また、植物と対話する牧野博士をイメージして七尾さんが制作された「名もなき花は」という曲も流れますので、ご期待ください。

荻野Pの見どころ解説

牧野博士が横倉山で発見した「ジョウロウホトトギス」や「コオロギラン」が新種であることを教えてくれたのは、ロシアの植物分類学者、カール・ヨハン・マキシモヴィッチですが、牧野博士とマキシモヴィッチ博士の年齢差や国境を超えた知られざる交流にもスポットを当てています。ドラマでは描かれていない部分もさらに掘り下げて紹介しますので、そういったところも楽しみにしていただけたらと思います。

「らんまん」をご覧になっている方には、きっと「実際にはこんなこともあったんだ」と物語と重ねて楽しんでいただけると思いますし、牧野富太郎がどんな志を持って植物の研究に生涯を捧げたのか、彼がどんな人物だったのかを90分に凝縮しましたので、ドラマを見たことがない方にもご覧いただきたいです。

松坂慶子さんからメッセージが届きました!

新種を発見したり特別な花だけを調べに行ったりするのではなく、利尻の全ての植物を明らかにして標本にしたいという牧野博士の姿勢に感動しました。博士は植物に会いに行く時にいつも正装をして出かけたそうですが、そこには植物への博愛、敬意を感じます。標本を作る時も、現地で根をきれいに洗って、その後も標本を整えるために徹夜で作業をしたといいます。大変な作業だと思うのですが、博士はそれを「こんな楽しいことはないじゃないか!」と思いながらやっていたのかもしれませんね。そんな牧野博士のことを思うと笑顔になりますし、元気をもらえるんです。博士の情熱を感じ、わくわくしながら利尻の旅を追体験させていただきました。

いとうせいこうさんは、牧野博士のことも植物のことも大変詳しい方なので、わかりやすい言葉でお話してくださって、博士の親しみやすい部分を想像しながら楽しく収録させていただきました。
そして、なんといってもボタンキンバイがとても美しかったです。


「牧野富太郎の大冒険〜天空の花園と神秘の森 愛と情熱!植物探究の旅を追体験!〜」

【放送予定】
9月23日(土・祝)[BSプレミアム]午後6:00~7:29 

【出演】
松坂慶子、いとうせいこう、七尾旅人、浜辺美波、菅原一剛 ほか

【ナレーター】
奥貫薫、安藤玉恵

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