今回ご紹介するのは西部劇。映画のだいご味を満喫いただける傑作です。
メキシコとの国境に近い町リオ・ブラボー。保安官のチャンスは殺人犯のジョーを逮捕しますが、ジョーの兄で町を牛耳るネイサンが釈放を要求。チャンスはわずかな仲間でネイサン一味に立ち向かうことになりますが…。
アクション、ユーモア、歌、友情に恋。娯楽映画の要素がギュッと詰まったこの作品、クエンティン・タランティーノ監督が最もお気に入りの映画と語るなど、今も高く評価されています。
製作・監督はハワード・ホークス。アクション、ミステリー、ミュージカル、コメディーと、さまざまなジャンルを手がけた巨匠です。個性豊かな登場人物、洗練されたユーモア、映画ならではの演出を得意としたホークス監督。本作の冒頭約3分半はセリフなし。登場人物や物語の設定を映像と音楽だけで表現する圧巻の演出をみせてくれます。
魅力的なのはキャスト。保安官のチャンスを演じるのはジョン・ウェイン。大きな体でゆっくりと歩く姿、ライフルを構えたときの機敏な動き、“デューク”の愛称で知られる大スターの優美な演技は西部劇にこそ最もふさわしいと感じます。
チャンスの仲間、デュードを演じるディーン・マーティンは、歌手としても知られステージやテレビ番組でも活躍したエンターテイナー。本作でのアルコール依存に苦しむ演技は友人のマーロン・ブランドのアドバイスを参考にしたということです。
チャンスに味方する若者コロラドを演じるのが撮影当時18歳だったリッキー・ネルソン。テレビドラマ「陽気なネルソン」など子どものころから俳優として活動し、ロックンロール歌手としてもヒット曲を連発、当時人気絶頂の若手スターでした。
足の不自由な老人スタンピーをユーモアたっぷりに演じるのは名優ウォルター・ブレナン。悪役からインテリまで幅広い人物を演じ、史上最多3度のアカデミー助演男優賞を受賞しています。
マーティンとネルソン、ブレナンの3人がジャムセッションのように歌い、ウェインが大きな手でコーヒーカップを抱えて歌を聴く場面もホークス監督ならではの名演出。何度見てもうれしくなってしまいます。
ギャンブラーのフェザーズを演じるのはアンジー・ディッキンソン。勝ち気でありながらチャンスにほのかな思いを寄せるチャーミングな女性はピッタリ。チャンスとの恋の行方もみどころです。
娯楽西部劇の決定版。どうぞお楽しみください!
プレミアムシネマ「リオ・ブラボー」
9月22日(金)[BSプレミアム]午後1:00〜3:22
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