何度見ても発見と感動が! 黒澤 明の代表作

七人の侍【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

2月3日(土)[BS]午後9:00〜翌午前0:28

今回ご紹介するのは黒澤 明監督の超大作。世界映画史上、不滅の傑作です。

戦国時代、野武士の略奪に苦しめられていた農民たちは、侍を雇い、戦うことを決意します。農民の苦難を知った浪人・島田勘兵衛は、侍を集め、農民たちとともに野武士に挑みますが…。

世界中の映画関係者はもちろん、コミックやゲームなど、この作品に影響されたものは数え切れません。大学や映画学校では教材として研究され、評価は高まるばかりです。
すべてが完璧ともいえるこの作品、もともとは、武士の一日をリアルに描きたいという発想からリサーチが行われ、黒澤監督と名脚本家・小国英雄、橋本 忍の3人で物語を作りあげたということです。

物語はシンプルですが、傑出しているのは登場人物の個性。黒澤監督はそれぞれの人物の絵を書き、風貌や性格、衣装まで熟考してキャラクターを創造したということです。
そして、それを演じたのが当時の日本映画を代表する名優たち。
知性と優しさにあふれ、冷静なリーダー・勘兵衛を演じるのは志村 喬。破天荒な菊千代は三船敏郎。2人とも黒澤作品には欠かせない存在です。勘兵衛に忠実な部下・七郎次は加東大介、穏やかで経験豊富、参謀を務める五郎兵衛は稲葉義男、愛嬌者の平八は千秋 実、純粋で血気あふれる若者・勝四郎は木村 功。寡黙な剣豪・久蔵を演じる宮口精二は、それまで時代劇の経験が少なく、自信がなかったそうですが、黒澤監督によると、7人のなかで一番の俊足だったということです。農民を演じる高堂国典、藤原釜足、左 卜全、土屋嘉男、津島恵子、島崎雪子も印象的です。

合戦の舞台となる農村は、一か所ではなく、黒澤監督のイメージに合うよう、東京のオープンセットや静岡など、複数の場所で撮影されました。異なる場所と時間の撮影では、光や影、色調を統一するのは極めて困難ですが、撮影・照明・美術、スタッフが最高の力を発揮した成果だと思います。とりわけ垂直の構図や望遠レンズを多用し、ほぼ正方形のスタンダード・サイズの画面を最大限生かした映像は何度見ても感嘆します。
そして名作曲家・早坂文雄の音楽。冒頭のクレジットは打楽器を中心とした緊張感ある音楽で始まります。変奏され何度も登場するテーマ曲は勇壮でありながら悲哀も感じさせ、終わったあとには思わず口ずさんでしまいます。

今年で製作70年。見直すたびに発見があり、深い感動に包まれるあっという間の3時間28分。どうぞお楽しみください!

プレミアムシネマ「七人の侍」

2月3日(土)[BS]午後9:00〜翌午前0:28


坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

関連記事

その他の注目記事