グレゴリー・ペック主演、戦争のむなしさを描いた名作

ナバロンの要塞【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

3月22日(金)[BS]午後1:00〜3:37

今回ご紹介するのは戦争映画の名作です。
第2次大戦下、エーゲ海の島に孤立した2000人のイギリス兵を救うため、連合軍はナバロン島にあるドイツ軍の巨大な砲台を破壊する特殊部隊を送りこみます。不可能とも思えるミッションは成功するのか…。

危機また危機、どんな絶望的な状況下でも任務を遂行しようとする登場人物たち、戦争のむなしさ…、本作はフィクションですが、何といっても物語が魅力的です。
原作を執筆したのは、イギリスを代表する冒険小説家アリステア・マクリーン。1922年生まれのマクリーンは、第2次大戦での海軍の経験を基にした処女作「女王陛下のユリシーズ号」と、長編第2作のこの小説でベストセラー作家となり、小説は次々映画化されました。

原作のエッセンスを生かし、息もつかせぬ作品に仕上げたのが映画のプロフェッショナルともいえるキャストとスタッフです。特殊部隊のメンバー、登山の専門家・マロリーを演じるグレゴリー・ペック、爆薬の専門家・ミラーを演じるデビッド・ニーブン、ギリシャ人・アンドレアはアンソニー・クイン、さらにスタンリー・ベイカー、リチャード・ハリス、ギリシャの俳優イレーネ・パパス、名優の名演技がリアリティーと迫力をもたらしています。

本作を企画したのはアメリカの脚本家カール・フォアマンです。傑作西部劇「真昼の決闘」(1952)をはじめ、数々の名作を手がけたフォアマンは、かつて共産党員だったため、“赤狩り”によってハリウッドを追われ、イギリスに移住。「戦場にかける橋」(1957)の脚本も執筆しましたが、公開当時はクレジットされませんでした。その後、赤狩りは終息し、フォアマンは自分の名前で映画が作れるようになりました。本作には、どんな状況下でも信念を貫こうとしたフォアマンの不屈の精神が込められているようにも感じられます。

監督はイギリスのJ・リー・トンプソン。爆薬・アクション、特撮、本作の撮影は複雑で困難の連続でしたが、トンプソン監督はスピーディーにこなし、“マイティ・マウス”というニックネームをつけられるほどタフだったということです。その演出に感服したグレゴリー・ペックは、その後も「恐怖の岬」(1962)や「マッケンナの黄金」(1968)といった作品でも組んでいます。ちなみに、もう一人、トンプソン監督を深く信頼していたのがチャールズ・ブロンソン。9本もの映画で組んでいます。

何度見てもおもしろい、ハラハラドキドキの名作、じっくりお楽しみください。

プレミアムシネマ「ナバロンの要塞」

3月22日(金)[BS]午後1:00〜3:37


坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

関連記事

その他の注目記事