原作は、阿部智里による人気ファンタジー小説「八咫烏シリーズ」。人の姿をした八咫烏の一族が支配する異世界・山内を舞台にした和風大河ファンタジーです。
美しくも風変わりな若宮の側仕えに抜擢された少年・雪哉。陰謀渦巻く宮中でさまざまな事件に遭遇するなかで、若宮と奇妙な主従関係を結んでいきます。
今回は、山内の皇太子・若宮役の入野自由さん&若宮の唯一の護衛・澄尾役の竹内栄治さんのインタビューをお届け。役柄について、物語のおもしろ味、ご覧になる皆さんへの切実なお願いなどを伺いました!
【第1話 あらすじ】
季節は春。皇太子・若宮の后を選ぶ「登殿の儀」が始まった。南家の姫・浜木綿、西家の姫・真赭の薄、北家の姫・白珠、そして病の姉に代わり急きょ登殿した東家の姫・あせび。山内の統治者・次期“金烏”たる若宮の妻に選ばれるのは、4人のうちただ1人だけ。張り詰めた空気が漂う女の園で、あせびはまだ見ぬ若宮への想いを募らせていく。
若宮と澄尾は理性タイプ、一方 雪哉は…
──それぞれの役柄について、どんな人物ととらえて演じられたのでしょうか。
入野自由(以下、入野):若宮は、ミステリアスな男です。見た目や頭もよく、スキがありません。でも、周りからは“うつけ”と呼ばれてもいます。“うつけ者”だと見せている、もしくはそう思われてもいいと、そこまで計算している男です。
竹内栄治(以下、竹内):澄尾は、若宮の全てのお世話を1人でまかなっている“仕事人”のような人物です。
入野:完璧な人間とそれについている完璧な護衛なので、最初は非の打ちどころがない2人に見えるんじゃないですかね。
竹内:しかも、護衛が1人というのにも理由があるんですよね。
入野:若宮の信頼できる人物は、序盤は澄尾しかいないので、そこに新しく若宮の側仕えとして雪哉が入ってくることで関係性に変化が生まれてくるんです。
──騒がしくもあり愛きょうのある雪哉がこの2人の間に入ってきたことによる変化をどうとらえて演じられたのですか?
入野:若宮にとって、雪哉はベストパートナーになりうる人物だと感じています。特に物語が進むほど、雪哉は若宮を、若宮は雪哉のいいところや潜在的な部分を引き出していきます。若宮の場合は、雪哉を手荒くピンチに追い込みながらですが(笑)。相乗効果でいいところが引き出されていく様子は演じていてもおもしろいと感じていました。
竹内:澄尾からすると、雪哉が来たことはすごくうれしいことだと思います。若宮の護衛は、澄尾1人しかいないというか、1人しか置けなかったんだと思うんですね。そんな中、若宮が近習に置きたいほど雪哉の能力を認め信頼していく。そこに対して澄尾は、ただただうれしかったと思いますし、若宮がこれからやっていくべきことを考えると、澄尾だけがつく必要はないし、雪哉がつくならそれでいいと理解していると思うんです。もちろん雪哉ができないことは自分がサポートすればいいと思っているはずなので。
入野:若宮と澄尾は、理性で自分たちを留めるタイプで、雪哉は感情で動けるタイプなんですよね。
竹内:そうそう、立場も性格も3人とも違いますよね。
入野:補い合うことで3人がチームになっていく様子はワクワクします。この関係性が物語を動かしていく要素にもなるので楽しみにしていてほしいですね。
注目シーンは若宮と兄・長束のシーン、澄尾は“くだけモード”
──若宮と澄尾のキャラクターを印象付けるシーンがありましたら教えてください。
入野:予告PVは、オーディションでも切り取られていたセリフでした。つまり、それだけ重要なシーン・セリフだということです。あとは、若宮の異母兄・長束とのやりとりにも注目してほしいです。最初は表面的な部分しか見えないのですが、徐々に若宮なりの戦い方が見えてくると思います。オーディションの際も長束と対立するセリフを読んだのですが、強く印象に残っています。
竹内:澄尾は、仕事モードから“くだけモード”になる部分が本当の姿だと思っていて、もともと澄尾は庶民の出身なので、その“くだけモード”になると親しみやすさが出るんですね。その部分が見てくださる方々に印象的に映ればいいなと思います。
入野:物語が進むにつれ、全てのキャクターが初回の印象から、どんどん変化していきます。そこがこの物語の魅力のひとつです。それぞれの関係性が大きく変わっていくので、その変化も楽しみにしていてほしいですね。“このキャラって実はこうだったの!?”が存分に詰まっています。
竹内:人間臭く変化していくキャラクターもいて、そこも好きなところです。
入野:そう考えると、若宮と澄尾はキャラクターの変遷が少ない2人でもある?
竹内:澄尾から見たら、若宮はだいぶ変わっていってるように見えるよ。
入野:あれ? そう?(笑)
竹内:雪哉と接するところを見ていると特に。若宮は、最初から事実だけを言っているので変わらないといったら変わらないのかもしれないですけど。澄尾は自分の考えを口に出すタイプではないので、変化はほぼ感じられないと思いますが、そこもどうなるか楽しみにしていてください。
──どんどん先が見たくなる物語ですが、お二人は台本を読まれてどんな印象を受けましたか?
入野:話が大変緻密ですし、よく考えられていると思いました。阿部智里先生と話す機会があったのですが、この作品は先生が二十歳のときに松本清張賞を受賞されたそうで、賞を取るためには物語にあっと驚く仕掛けが必要だと考えたそうです。その驚く仕掛けやインパクトは、見てくださる方々に早く体感していただきたいですね。そして、伏線回収も素晴らしい。阿部先生のストーリーの紡ぎ方と、アニメーション脚本の切り取り方・描かれ方の連携がすごくよくできていると感じました。
竹内:内容を知らずに見ていると毎話“新鮮なびっくり”があるんですよね。
入野:本当にそう! それがNHKの全国放送でお届けできるのもうれしいですし。今回、現在放送中の大河ドラマとのリンクもあって、アニメに登場する手紙の文字などは、「光る君へ」の風俗考証の方や、「どうする家康」の書道指導の方が入られたりしてるんですよ。
竹内:すごかった。放送のときにまたちゃんと見なくちゃ。
原作ファン以外の人たちにも届け!
──原作も大人気で、SNSではファンの方々からの「アニメが楽しみ」という声がたくさん上がっています。番組をご覧になる皆さまへ、メッセージをお願いいたします。
入野:ここで上手く言えたらいいんですが、とにかく見てほしいんです(笑)! このインタビューをここまで読んでくださった方はきっと楽しみにしてくれていると思うのですが、どうすればより多くの人に見ていただけると思いますか?
竹内:問いかけちゃうんだ(笑)。もう出来る限りたくさん拡散していただきましょう。
入野:どこでも情報を得られる時代ですけど、人に伝わるまでがなかなか難しいですよね。そこを伝えるのが僕たちのテーマでもあるので、ぜひ皆さんお力添えをお願いいたします!
竹内:和風ファンタジーものって、歴史を知っていないとおもしろくないかもと思う方もいると思いますが、この作品に関しては作り込みが丁寧ですし、物語の導入にもなる1話と2話がとっても分かりやすくなっています。「今のどういうこと?」と思われるシーンもきちんと後で解説が入りますし、毎週ワクワクが続く物語になっています。
入野:信じて見てほしいですね。毎週リアルタイムで見てもいいですし、録画してもいいですし、NHKプラスでの見逃し配信もあるので、ぜひたくさんの方々に見てほしいと思います!
アニメ「烏は主を選ばない」
【放送予定】
4月6日(土)スタート
毎週土曜[総合]午後11:45~翌0:10
© 阿部智里/文藝春秋/NHK・NEP・ぴえろ