これまでの街歩き

クラクフ/ ポーランド

2006年9月5日(火) 初回放送

語り:工藤夕貴

撮影時期:2006年8月

世界地図

地図

場所

ポーランドの南部の都市、クラクフ。現在の人口はおよそ75万。
かつてポーランド王国の首都として栄え、プラハやウィーンと並ぶ中央ヨーロッパの文化の中心でした。クラクフはポーランドの多くの都市が第二次世界大戦で壊滅的な被害を受けたなか、幸運にも戦災を免れたました。
中世の街並をそのまま残すこのポーランドの古都は、1978年に世界遺産に登録されています。

Information

竜伝説

その昔、クラクフには恐ろしい竜がいて、若い女の子をさらっては食べていました。ある日、意を決した若い靴屋が、羊のぬいぐるみを作り、中に硫黄をつめて竜に食べさせ、退治することに成功しました。靴屋は町の英雄となり、ご褒美に王様の娘を嫁にもらい、幸せに暮らしました。というクラクフに伝わる竜の伝説。竜は現在もバベル城にいて時折、火を吐いています。そして、町の英雄、靴屋さんは旧市街に2軒。今もヒールが折れたときは、女性の心強い味方です。

ラッパ吹き

クラクフの中央広場を歩いていると1時間ごとに聖マリア教会の塔から不思議なラッパの音色が聞こえてきます。メロディーは途中で終り、なんだか中途半端な気がしますが、実はこれには理由があります。
このラッパの歴史は13世紀にタタール人がクラクフを攻めたことに始まります。敵の接近を町の住民に知らせるために、ラッパを吹いたひとりの勇敢な兵士が、吹いている最中に、敵に首を矢で打たれ死んでしまい、メロディーは途中で終わってしまいました。
以来、この事を悼んで、聖マリア教会の塔から24時間、1時間ごとに、クラクフの消防士によって当時のメロディーが吹かれることになったのです。

チャルトリスキ美術館

フロリアンスカ門から旧市街に入り、すぐ右に曲がると、チャルトリスキ美術館があります。この美術館には、ポーランドで最も貴重な作品の一つで、あのレオナルド・ダヴィンチが生涯に3枚しか描かなかった女性肖像画の1枚、「白貂を抱く貴婦人」があります。
ポーランドにとって、とても悲しい出来事は、ナチスドイツによる数々の名画の略奪です。第二次世界大戦中、この作品もドイツに持ち去られましが、戦後、巡り巡って、クラクフに戻って来ることが出来ました。
しかし、返ることのなかった作品もあります。かつてチャルトリスキ美術館のもう一つの宝物として飾られていたラファエロによる肖像画です。
戦後、何度も調査が重ねられましたが、作品は今も行方不明のままです。
ラファエロの名画は今もどこかの金庫に無事に眠っていて、再び光が当たるのを待っているのだということを願うばかりです。

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