2009年2月19日(木) 初回放送
語り:半海一晃
撮影時期:2008年12月
グアナファトはメキシコ中部、標高2000mに位置する街で、人口は約14万。グアナファト州の州都です。
16世紀に銀の鉱脈が発見され、18世紀には世界中の銀の15%以上を産出する鉱山都市へと発展しました。その莫大(ばくだい)な富で築いたスペイン風の街並みは「王冠に散りばめられた宝石」と称(たた)えられ、世界遺産に登録されています。
19世紀初頭のメキシコ独立戦争の際は激戦の舞台となり、その名残をとどめる歴史的建造物も多くあります。
グアナファトの大きな特徴は、幹線道路が地下に設けられていることです。トンネルの数は16個。総距離は約27kmに及んでいます。1960年代に車の交通量を減らすために設けられ、銀で栄えた時代の排水溝などを利用して作られました。
また、街には大小合わせて30以上の大学があり、メキシコ屈指の学園都市として有名です。
グアナファトの街を歩くと、さまざまなファストフードに出会うことができます。メキシコ流・路上グルメの楽しみ方をご紹介。
まずは、採れたてフルーツの盛り合わせ。仕上げにたっぷりとふりかけるのは、唐辛子の粉、チリパウダーです。ライムをしぼってチリの辛さを全体に行き渡らせるのがポイント。
おなかに溜(た)まるものを食べたい人に人気なのは、グアナファト名物“ワカマヤス”。作り方は、まずアボカドをたっぷりとパンに塗ります。次に、“チチャロン”という豚の皮を揚げたものを挟みます。そして、仕上げはサルサ。チリが入ったトマトソースをたっぷりとかけます。
夜のお出かけには、メキシコ人の大好物トウモロコシを。茹(ゆ)でたてのトウモロコシに、マヨネーズと粉チーズをたっぷりと。そして最後はもちろんチリ。標高が高いグアナファトの夜はとっても冷えるので、チリの辛さで心も体も温まってくださいね。
グアナファトは、かつて世界に誇る銀の鉱山都市でした。鉱山ツアーでは、当時の採掘現場を見学することができます。
バレンシアーナ鉱山は、18世紀に世界最大の銀山として名を馳(は)せました。トンネルの壁を走る、黒っぽい筋状の帯が、銀の鉱脈です。1トンの岩から10kgほどの銀がとれたそうです。
しかし、坑夫たちの苦労は大変なものでした。肺を悪くしたり、目を悪くしたりするなど、劣悪な環境だったのです。グアナファトの美しい街並みは、こうした抗夫たちの苦労の上に築かれたといってもいいでしょう。
一方、鉱山主はいずれもメキシコ生まれのスペイン人で、事業の成功を神に感謝するために、立派な教会を建てました。
最大の特徴は祭壇の装飾です。「ウロトラバロック」と呼ばれ、先住民の職人たちが手がけています。メキシコ生まれのスペイン人は、本国への対抗心が強く、スペイン以上の独自の文化を生み出すことに情熱を傾け「ウロトラバロック」を生み出したと言われています。
グアナファトの夜の名物は、学生を中心に結成された「夜の音楽隊」です。
中世にスペインの学生たちが身にまとっていたクラシックな衣装を着て街へ繰り出し、セレナーデを奏でながら観光客を相手に夜のお散歩ツアーを行っているのです。
事の始まりは19世紀。孤児院を設立するための資金集めとして、学生たちが始めました。中世のスペインには、こうして生活費を稼いだ学生が多かったんだそうです。
20世紀に銀の鉱山が衰退したときは街の人々を元気づけ、現在は観光の目玉となっています。楽団は、まさにグアナファトの歴史とともに歩んできました。
夜の町はとってもロマンチックなので、ぜひ、参加してみてください。