これまでの街歩き

斜めが似合う街
ピサ/ イタリア

2017年8月1日(火) 初回放送

語り:竹内結子

撮影時期:2017年4月

世界地図

地図

場所

 ピサはトスカーナ州ピサ県の県都で、5大都市の一つ「フィレンツェ」から電車で約1時間のところに位置します。
 街の中心を大きく蛇行して流れるアルノ川は地中海に続いています。中世のピサは、イタリアの四大海洋国家(ヴェネツィア、ジェノヴァ、アマルフィ、ピサ)のひとつとして繁栄を極め、川沿いはメインストリートとして大きな屋敷が建ち並んでいました。今も川沿いには美しい景色が広がっています。街は中世の城壁で囲まれ、当時の優れた建築を、こんにちでもとどめています。
 ピサで最も代表的な観光スポットは、世界遺産のピサの斜塔、大聖堂、洗礼堂のある「奇跡の広場(ドゥオーモ広場)」。旧市街地の北にあり、ピサ中央駅から徒歩で観光することができる距離にあります。その姿を見るために世界中から観光客が集まってきます。

Information

塔の街 ピサの歴史

 イタリア歴史科学研究所(ドムス・ガリラエアーナ)の学芸員、フランチェスコさんに塔にまつわるピサの歴史を教えてもらいます。
 かつて、強大な海洋国家として君臨したピサは、“富と権力の象徴”として街に塔を次々と建設していきます。住居、見張り台、馬小屋…。塔の用途はさまざま。しかし、1406年、フィレンツェに征服されます。塔は高さを切り揃えられ、屋根をかぶせられてしまったのです。
 残された塔を使ってさまざまな実験を行った天才が「ガリレオ・ガリレイ」。彼が斜塔で実験したといわれているのが「自由落下の法則」。また、街中にある塔では、天体望遠鏡を使って月や星を観察しました。ガリレオの功績にはピサの歴史が深く貢献していたんです。

食べ歩きグルメ

街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!

ピサ大学に通うジュリアさんが、「ピサに来たら食べてほしい」という大好物を教えてくれました。

ムール貝の肉詰め

ムール貝に子牛のひき肉などをたっぷり詰め、開かないよう糸でぐるぐる巻いてトマトのソースで煮込みます。かねてより海が近い地域では、ムール貝にパンなどを詰めた節約料理を食べていました。その後、他の食材も詰めることがはやり、お肉を詰めるようになったそうです。貝と詰めたお肉からうまみが溶け出たし、とても奥深い味わいです。

トリッパのトマト煮込み

トリッパとは牛の第2胃袋のこと。日本では「ハチノス」として知られています。他にも、ミノ、センマイ、ギアラを加え、香味野菜などと一緒に徹底的に煮込みます。いわば、イタリア版のモツ煮。トマトとモツは相性抜群。決め手はパルメザンチーズ。濃厚さがまして絶品です!

チェチーナ

材料はいたってシンプル。ヒヨコ豆の粉に、水と塩、オリーブオイルを加えます。これを天板などにうすく流し込み、高温の窯で約8分間焼きます。表面はカリカリ、中はモチモチ。ほんのり甘いヒヨコ豆の風味がして、素朴ながら飽きのこない味です。

ちょっとより道

街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!

「カッラーラ」 ミケランジェロが愛した石切り場
語り:えなりかずき

 古来より大理石の生産地として知られる「カッラーラ」。ピサからは列車で北へ1時間ほどです。
 カッラーラの大理石採掘は、およそ2000年の歴史があると言われています。かの「ミケランジェロ」も理想の大理石を求めてこの石切り場に足しげく通い、多くの作品を残しました。
 車が石切り場の近くに入ると、目に映る山々の山肌が白く輝き、まるで雪山のよう。見せてもらった大理石は、きめが細かく、日差しにかざすと輝き、透明感がありました。
 そして、石切り場ツアーのもう一つの目玉が、山の中腹にあるコロンナータ村の名物料理、ラルド・ディ・コロンナータ。巨大な大理石を削り出して作られた石槽で、塩漬けにした豚の背脂を香草やニンニクで風味づけし、熟成させています。もともとは採掘現場の男たちの労働食でした。
 ミケランジェロがなくなって450年。今もまだ変わらず、白く輝く世界最高級品質の大理石がこの地から切り出されています。

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