これまでの街歩き

琥珀(こはく)と自由の街
グダニスク/ ポーランド

2018年2月13日(火) 初回放送

語り:田畑智子

撮影時期:2017年11月

世界地図

地図

場所

 グダニスクはポーランド北部、バルト海に面した港町で、北部一帯の政治・経済・文化の中心地。ポーランドで最も美しい街の一つといわれ、国内外から観光客が訪れる観光都市でもあります。街の始まりは約1000年前で、13~14世紀ごろにハンザ同盟に加盟。琥珀(こはく)の一大産地でもあり、海上交易と琥珀の輸出で街は大いに繁栄しました。現在は貿易業のほかITやベンチャービジネスが主要産業となってきています。また、グダニスクはポーランドの近現代の歴史において、大きな出来事の舞台となってきました。第二次世界大戦の口火を切ったポーランド侵攻の最初の標的となり、社会主義時代には東欧民主化の道を開いた「連帯」発祥の地にもなりました。「連帯」のリーダーで、民主化後最初の大統領となったワレサ議長の出身地でもあります。ポーランドは1989年の民主化後、EUにも加盟して大きな経済成長を遂げています。

Information

歴史の転換点 グダニスク

 建国以来、大国による支配や侵略を受け続け激動の歴史を歩んできたポーランド。1939年、第2次世界大戦の口火を切ったポーランド侵攻の最初の標的となったグダニスクでは大勢の市民が犠牲となり、街は破壊され尽くしました。人々は戦後、街を元通りの姿に復興しましたが、苦難の時代は続き、社会主義政権による厳しい言論統制が敷かれるように。さらに、政府の経済政策の失敗で極度の食糧難が引き起こされました。
 そんな中、グダニスク造船所の労働者たちが立ち上がり、のちに東欧民主化への機運を作る「連帯」が発足しました。人々を率いたのは、造船所の電気技師だったレフ・ワレサ。10年かけ独裁政権と渡り合い、ついに1989年に社会主義体制が崩壊。ポーランドの人々は自由と民主化を勝ち取りました。ワレサは民主化後、初代大統領となり国の指導者に。政界引退後の今はグダニスクに住み、ポーランド民主化の英雄として自らの体験を後世に伝える活動を続けています。

食べ歩きグルメ

街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!

今回紹介してくれるのは、グダニスクの大学に通うマレックさんとカロリナさん。マレックさんは初めての一人暮らしのせいで、何だかホームシック気味。元気のない恋人を励まそうと、デートに連れ出すカロリナさん。いつも2人でよく食べるという、とっておきのポーランドの伝統料理を紹介してくれました。

ジュレック

ポーランドを代表するスープ料理。まず、玉ねぎやにんじんなどの野菜と、炒めたソーセージを鍋で煮込みます。1時間ほどたったら、ライ麦を発酵させてハーブを混ぜた液体“ザクファス”を加え、塩コショウやにんにくで味を調えたら出来上がり。独特な酸味とコクのある味わいです。家庭料理のため、家によっては卵やサワークリームを入れたり、具材を入れる順番が異なったりと、さまざまなバリエーションがあります。

デヴォーライ

ポーランドのチキンカツレツ。一般家庭でも日常的に食べられる定番料理です。鳥の胸肉で香草とチーズとバターをくるみ、油でカラッと揚げたら出来上がり。切った時に熱々のバターが中からあふれ出します。

ピエロギ

ポーランドの国民食で、クリスマスなどの祝祭日に特によく食べられます。周辺のスラブ諸国でも定番の料理。中国のギョーザに似ており、厚めの生地に肉や野菜、チーズやポテトなど好みの材料を詰め、揚げたりゆでたりして食べます。ベリーやイチゴなどのフルーツを入れることでスイーツとしても食べられます。

ちょっとより道

街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!

「ソポト」バルト海のリゾート 冬の珍名物!?
語り:田中卓志

 今回目指すのは、グダニスクから電車で約30分の街・ソポト。バルト海に面した、ポーランドで人気のリゾート地です。
 街を案内してくれたのは黄色のコートが印象的な女性。ソポトの目玉は美しいバルト海と、長さ511.5メートルというヨーロッパ最長の木造の桟橋。夏になるとヨーロッパ各地からのバカンス客であふれ、入場制限がかかるほどの人気なんだそうです。
 しかし、今回向かった時期はあいにく冬のオフシーズン。せっかくのNo.1リゾートも人が少なく、どこか寂しげな雰囲気。
 そんな中、女性から冬のソポトのとっておきの楽しみ方があると聞き、ついていくことに。すると目に飛び込んできたのは、気温5度の極寒の中を水着姿で駆け回る人々の姿!この人たち、実は「寒中水泳クラブ」のメンバー。会員は数十人で、メンバーは老若男女さまざま。週に1度集まってエアロビクスの準備体操をした後、1時間ほど海で泳ぐんだそう。なんと、マイナス20度で氷が張っていても絶対に入るんだとか…。海に入るよう誘われたけれど、断固拒否!日本男児の意地(?)を見せるのは、次回にお預けです。

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