これまでの街歩き

過ぎし日の面影
香港・九龍城区/ 中国

2018年5月8日(火) 初回放送

語り:松田洋治

撮影時期:2017年12月

世界地図

地図

場所

 中国の特別行政区・香港は香港島と九龍半島、新界 、周辺の200余りの島から成ります。九龍城区は九龍半島の東側、フェリー乗り場のある紅磡(ホンハム)や、かつて九龍城砦(じょうさい)があった地域を含む、面積約1000ヘクタール、人口約38万の地域。繁華街には大型のショッピングモールもありますが、古い集合住宅や高層マンションも多い居住地区です。
 19世紀末に湾を埋め立てて造成された紅磡には、かつて造船所がありました。1980年代の大規模開発で商業施設や教育施設の充実した住宅地に生まれ変わりましたが、街のシンボルとなっている大型船の形をしたショッピングセンターは、造船の街の歴史を今に伝える記念の建物です。かつて九龍城砦があった場所は九龍寨城公園として生まれ変わり、清朝時代の遺跡や「東洋の魔窟(まくつ)」と呼ばれた頃のさまざまな記録が展示されています。

Information

九龍城区の歴史

 2014年、九龍城区の地下鉄駅工事現場で、宋と元の時代の遺跡が数多く見つかりました。アヘン戦争以前の香港には何もなかったと言われることがありますが、この発掘調査により、かなり開けていたことがわかりました。
 13世紀、元に追われた宋王朝最後の皇帝が南へ逃げる途中この地に一時滞在したのですが、そのまま住み着いた家来もました。大陸から来た彼らのおかげで、このあたりは早くから栄えていたのです。17世紀になると、清朝が砦(とりで)を築きました。しかし19世紀末にイギリスがこの一帯を租借し、帰属の曖昧な空白地帯と化してしまいます。第二次世界大戦が終わると、中国の内戦から逃れた難民がここに大挙して押し寄せます。彼らが作り上げた、隙間なくビルが建ち並ぶスラムは「東洋の魔窟(まくつ)」と恐れられ、いつしか九龍城砦(じょうさい)と呼ばれるようになりました。
 香港は、いつの時代も中国本土を追われた者たちがたどりく場所だったのです。

食べ歩きグルメ

街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!

料理学校の講師、パニー・ンさんが、人気のストリート・フードを教えてくれます。

うなぎドッグ

香港では日本食が大人気。このメニューは店のオーナーが日本を旅した時に思いついたものなんだそうです。ホットドッグにかば焼をのせるだけですが、うなぎは日本産のものにこだわっているんだとか。

サテー牛肉入りフレンチトースト

香港でフレンチトーストと言えば、ピーナッツバターを挟んだパンを揚げたもの。仕上げに練乳とバターをのせるのがお約束です。でもこのフレンチトーストには、東南アジアのサテー味の牛肉が入っているのです。香港はイギリスの植民地だったので、独特の洋食文化が発展しました。中でもフレンチトーストは香港人が愛してやまない一品です。気軽なカフェの定番メニューだから、小腹が空いた時に試してみてね。

イスラム風焼きまんじゅう

焼きまんじゅうにはふつう豚肉を使いますが、この焼きまんじゅうは牛肉を使っています。豚肉を食べないイスラム教徒向けに作られたからです。それがほかの人達にも大受けして、今では1日千個も売れる人気商品になりました。おいしさの秘密は注文を受けてから作ること。熱々だから食べるときには気をつけてください!

ちょっとより道

街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!

川龍(チュンロン)村
語り:中川翔子

 香港の人たちが週末に出かけるという郊外の大人気スポットへ!川龍村があるのは郊外の新界地区。香港の中心部から車でおよそ40分の距離です。
 タクシーが着いた場所は山の中、なんだか寂しそうな場所です。でも少し歩くと、お店の駐車場には車がいっぱい。店先には大きなセイロが山積みになっています。そう、ここがみんなのお目当て、飲茶屋さんなんです。朝早くから大繁盛!店の中には小さめのセイロが山積みになっていて、お客さんはセルフサービスで好きなメニューを選んでテーブルに運びます。魚の蒸し団子、マーラーカオ、肉まんに蒸しご飯、おいしいそうなものがいっぱいです。
 2階のテラス席にはたくさんの鳥かごが。美しい小鳥の鳴き声を楽しみながらおいしいものを食べるのが、香港の文化なんだと、鳥かごを持った男性が教えてくれました。
 店を出て山の方へ歩いていくと、一面のクレソン畑が広がっていました。山の湧き水で育った新鮮なクレソンが街の人たちに大人気で、畑に行列ができるほどなんだそうです。香港の街のすぐ近くに、桃源郷のような景色がひろがっていました。

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