これまでの街歩き

出会いの階段めぐり
シュツットガルト/ ドイツ

2019年1月22日(火) 初回放送

語り:イッセー尾形

撮影時期:2018年11月

世界地図

地図

場所

 かつてヴュルテンベルク王国の都であったシュツットガルトは、ヴェルヘルム1世の指導の下、ワインのためのブドウ栽培が盛んに行われた街でした。19世紀後半になるとイギリスで始まった産業革命の波が押し寄せ、ベンツやポルシェなどドイツを代表する名だたる自動車会社が本拠地を置くようになったシュツットガルトは産業都市として発展します。現在バーデン・ヴュルテンベルク州最大の都市になり、人口60万が暮らす州都です。
 丘陵地に発達した都市のため、街の中を走るトラムには登山鉄道並みの急勾配の区間が存在します。街の南に位置するデガロホ丘陵地帯の山頂には、1954年に建設された世界初の鉄筋コンクリート造のテレビ塔があり、シュツットガルトとその周辺の山々を一望できます。

Information

シュツットガルトを築いた2人の男たち

 山肌にはブドウ畑が、谷あいには自動車産業の街が広がるシュツットガルト。このユニークともいえる街の姿が出来上がった背景を知るには、2人の男たちの話が欠かせません。
 その1人が19世紀にヴェルテンベルク王国の主としてこの地を治めた王、ヴェルヘルム1世。農業振興に力を注ぎワイン作りを推し進めた人物です。ブドウ畑の税金を減らし、農機具を安く提供し、良質なブドウの枝を挿し木用に無料で与えるなど、さまざまな政策を打ち出して貧しい農家を支えました。こうしてシュツットガルトはブドウ畑に囲まれた街になったのです。
 そして19世紀後半、時代が産業革命を迎えると、登場したのが今や世界に名をとどろかせる自動車会社を立ち上げたカール・ベンツでした。世界初の実用的なガソリン自動車を発明し、大企業誕生の基盤を築いた人物です。その後ベンツが率いる会社はダイムラー社と合併。シュツットガルトに本拠地が置かれると人口が一気に増加し、ブドウ畑に住宅が広がっていったのです。
 ヴェルヘルム1世が築いたブドウ畑とベンツが導いた産業の街が共存するシュツットガルト。この独特な形は街の歴史そのものを物語っているのです。

食べ歩きグルメ

街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!

今回グルメを紹介してくれるのは、営業マンとしてシュツットガルトの街を知り尽くすフィリップ・ベルクさん。そんなフィリップさんが選んだグルメは、体力も気力も求められる営業マンには欠かせないものばかりでした。

ケーキ

街の至るところでケーキ屋さんを見かけることができるシュツットガルト、いかにこの街の人たちが甘いものをこよなく愛しているのかが分かります。この街を知り尽くす営業マン・フィリップさんが選んだのも、やはりケーキでした。忙しい仕事の合間にホッと一息つかせてくれる時間には欠かせないのだといいます。中でもフィリップさんの最近のお気に入りは、爽やかな味わいのカシスクリームでコーティングされたスポンジケーキでした。

マウルタッシェ

シュツットガルト人なら誰もが週に3度は口にするという街の名物、マウルタッシェ。いわゆるギョーザのようなもので、薄くのばしたパスタ生地の中に豚のひき肉・ほうれん草・玉ねぎ・ジャガイモ・セロリなどがたっぷり挟まれたボリュームある一品です。フィリップさんいわく、栄養も満点なマウルタッシェは忙しい営業マンの強き味方なんだそう。

マジパン

フィリップさんが第3位に選んだのはドイツの朝ごはんの定番、プレッツェルと白ソーセージのセット。でもこれ、本物そっくりに作られたマジパンなんです。マジパンはアーモンドの粉と砂糖、卵白を混ぜてペースト状にした甘いお菓子のこと。シュツットガルトはケーキ屋同様チョコレート屋も多く、朝早くから店を開けているんです。朝から甘い物を食べると頭がよく回るんだとか?!

ちょっとより道

街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!

黒い森 ドナウ川水源へ行こう!
語り:濱田マリ

 今回目指すのは、シュツットガルトから電車とバスを乗り継いで2時間ほどのところにあるフルトヴァンゲン。この一帯は黒い森の中にあり、大河ドナウの水源を訪ねることができます。ドナウ川はここからオーストリア、ハンガリー、クロアチア、セルビア、ブルガリア、ルーマニアと流れ、黒海に注ぐヨーロッパ有数の大河。世界に名を知られる黒い森に湧き出すドナウの源、その光景はどんなに神秘的なのだろうかと勝手な妄想が膨らみます。
 到着したフルトヴァンゲンは雪景色。道端にある標識を頼りに田舎道を歩き続けていくと、たどり着いたところは意外にもキャンプ場のような場所でした。予想外の展開に不安になりながらも進んで行くと、観光客らしき人たちがいっぱい集まっています。なんとそこには水を手ですくって飲んでいる男性までいるではありませんか!どうやらここがドナウの水源のよう。石で造られた穴の中から水がチョロチョロと流れ出す様子は、水道の蛇口から流れ出しているみたい。さらに石の上には男性らしき銅像が体を投げ出すように横たわっています。ガイドブックによれば、ギリシャ神話に登場するというドナウ川の守り神なんだそう。しかしその姿は清流の神にはほど遠く、髪の毛もひげもモジャモジャ。なんとも微妙な気持ちになってしまう水源への旅でした。

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