これまでの街歩き

ポルト歴史地区/ ポルトガル

2015年5月12日(火) 初回放送

語り:桂 文珍

撮影時期:2015年2月

街の「アズレージョ職人」

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 ドウロ川を目指して坂道を下って行くと、タイルを片手に建物の前でお仕事中の男性を発見。声をかけてみると、古い建物に貼られたアズレージョを修復している職人さんでした。ポルトの駅や教会など、街の中でよく見かける美しいアズレージョは15世紀ごろにアラブから持ち込まれた文化。湿度の高い気候から、多くの建物の外壁に利用されてきたというお話し。世界遺産の街並みを守るため、タイルに描かれた模様や色などを当時のまま修復するというから大変な仕事なのです。
 職人が是非見せたいものがると、ある場所に誘ってくれました…ついて行ってみると、そこは病院の小児科病棟。街の子供たちと一緒に作りあげたという楽しい絵が数メートルに渡って壁一面に貼られているではありませんか!待合室でお子さんの診察を待っていた母親が「時に病院から逃げ出したくなる子どもたちも、楽しいアズレージョで癒されてるのよ」と教えてくれました。
 心優しい職人さんは街の子供たちの心をアズレージョで照らしているんですね。

街の「ワイン蔵」

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 ドンルイス1世橋を渡って歴史地区の対岸、ガイア地区へ。ここは長年ポルトの経済を支えてきたポートワインの蔵が建ち並ぶ地区です。その数は30以上に上ります。かつては船でワインの樽(たる)を運んだというドウロ川沿いには、歴史を伝えるレプリカの船がたくさんとまっていました。細い路地が入り組む歴史地区とは対象的に、広い石畳の坂道に大きな石造りの建物がズラリ…
 その一角にある歴史がありそうな蔵をのぞいてみると、今から樽を洗うという男性たちに遭遇。拝見させていただくことに。数千個の樽が置かれる蔵の中を移動して到着したのは、背丈の3倍はありそうな大きな樽の前。どうやって洗うのかと興味津々で見ていると…男性の体がギリギリ入るかどうかというくらい小さな穴からはうように樽の中へ入っていくではありませんか。質の高いワインを作り続けるために、定期的に大掃除を行わなければならないんだそうです。
 午後の蔵の中では、人知れずワインのために汗を流す男性たちの姿がありました。

街の「洗濯場」

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 ガイア地区の川沿いを散歩していると、忙しそうに働くかっぷくのいい女性たちを見かけました。エプロン姿で掃除していたのはサン・ペドロの銅像。漁師の守り神なんだそうです。女性たちは夫が無事に漁から戻って来られるように、銅像を磨き、花を供え、ロウソクに火をともして願って来たという話を聞かせてくれました。
 一通り掃除が終わると「これから川へ洗濯に行く」という2人…気になってついて行ってみると、そこは共同の洗濯場が。中では地元の女性たちが楽しそうに洗濯中です。一日に何度も洗濯をするほどというほどポルトの女性はキレイ好き。その理由を聞くと「愛する夫のために家をピカピカにして笑顔を絶やさないのがポルト女性の必須条件」なんだと教えてくれました。中には洗い物をしながら歌い始める年配の女性の姿も。心も洗濯物もピカピカに磨き上げるんですね。
 洗濯場には働き者で明るいポルトの女性たちの大きな笑い声が響き渡っていました。

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