これまでの街歩き

都会の隣のふるさと
秩父スペシャル/ 日本

2017年7月11日(火) 初回放送

語り:設楽 統

撮影時期:2017年5月

街の「祭り」

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 秩父は祭りがとても盛んな土地柄。一説によると、その数は年間300以上。最も有名な祭りは、毎年12月に開かれる「秩父夜祭」。武甲山をご神体とする秩父神社のお祭りで、豪華な山車の練り歩きや、地元の人々が出演する歌舞伎を目当てに、数十万人の観光客が訪れます。
 「番場通り」で出会ったのは、冬の「秩父夜祭」と対になる夏の祭り「川瀬祭」の準備をする人々。昭和8年から伝わる山車の部品「懸魚(げぎょ)」を見せてもらい、地元の青年たちから太鼓の技を教わる子供たちとふれあいます。設楽さんも、子どもの頃、祭り前になると同じように太鼓の練習をしていたそうです。
 代表の男性は、「祭りがなければ秩父ではない!」と笑顔で教えてくれます。街の人の中には、秩父夜祭が行われる12月3日から車のプレートナンバーを「12・3」にする人や、祭りに関わりたいがために秩父で就職して地元に残る人もいるのだとか。

街の「絹織物」

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 秩父の土壌は、絹糸を生み出す蚕のえさ、桑を栽培するのに適していたため、養蚕と絹織物作りが、街の基幹産業になりました。
 大正から昭和にかけて、大胆な色と柄が特徴の「秩父銘仙」が全国で大流行し、秩父の絹織物産業は最盛期を迎えます。その発展を支えたのが、設楽さんの祖父、逸三郎。当時、全国で不足していた黒の染料を開発し、大きな利益を地元にもたらしました。
 当時の雰囲気を今にとどめるのが、「本町」界わい。絹の買い付けに全国から集まってきた商人たちが通っていた遊郭だったという建物には、屋根の上に小さな招き猫が乗っていることを、目の前で、すし屋を営む男性が教えてくれます。その近くで、三角形の屋根が連なった木造の建物を発見。80年前の機械を使って今なお秩父銘仙を織り続けている工場でした。「後継者がいないんです」とさびしそうな笑顔のご主人…。絹織物作りの伝統、なんとか守り継がれていってほしいです。

街の「巡礼」

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 秩父には、三十四カ所のお寺などを全て巡るとご利益があるとされる“札所巡り”の歴史が、室町時代から続いています。幼い頃の設楽さんには“札所巡り”が醸し出す雰囲気は、ちょっぴり怖かったそうです。
 今回、訪ねたのは「十七番」のお寺。そこで出会ったのは、ドライブしながら札所巡りをしているという陽気な男性の2人組。「趣味の釣りでお世話になっている魚の供養のため」なんだとか。かつては白装束に身を固め、杖をついて徒歩で回るというのが定番だった札所巡り。現代では気軽な形で楽しまれています。
 さらに巡礼道を進むと、「旧秩父橋」の上で、コスプレ撮影を楽しむ若者たちに遭遇。秩父を舞台にした人気アニメの“聖地巡礼”にやってきたのだとか。「秩父、めちゃくちゃ大好きです」とステキな笑顔で語ってくれました。
 秩父の聖地巡礼、今と昔では、見た目は全然違っても、自然を味わいながら人々とのふれあいを楽しむ姿は、同じなようです。

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