2016年4月5日(火) 初回放送
語り:羽田美智子
撮影時期:2016年2月
コルシカ島は地中海で4番目に大きな島。フランス領でありながら、イタリア半島にとても近い島です。“美の島”とも“地中海最後の楽園”とも呼ばれ、観光シーズンは多くの旅客でにぎわいます。バスティアの港は、年間2千万人以上の旅客が利用する、地中海ではフランス最大の海港です。島の北部の玄関口であるバスティアは島の経済の集約地。人口は4万です。
コルシカ島には紀元前6千年頃から人が住むようになり、古くはヤギや羊などの牧畜が営まれていました。海辺に街が造られ始めたのは中世になってから。バスティアは14世紀ごろから島の中心、首府としての役割を担ってきました。街なかには中世の街並みがたっぷり残されています。その歴史ある景観と風情から、フランスの“芸術と歴史の町”にも選ばれています。
コルシカではフランス語とともに、コルシカ語も公用語で、学校で教えられています。コルシカ語はイタリア語に近いんです。
というのも、コルシカ島はイタリア半島に近いこともあって、紀元前からおよそ千年もの間、ローマ帝国に支配されていました。12世紀には、進出してきた都市国家ジェノバの圧政に苦しみました。1755年に独立戦争に勝利して、国家を樹立。しかし、その喜びもつかの間、1768年に今度はフランスの支配下となります。フランスは同化政策の下、コルシカ語をはじめ、さまざまな特有の文化を禁じ、一時は消失の危機にさらされました。しかし、近年、学校で再びコルシカ語が教えられるようになり、その他のコルシカの文化をも見直す動きが高まっています。
街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!
今回紹介してくれるのは、バスティアのコルシカ特産品店に勤めるバティさん。生産者の方々と日頃から友達つきあいをしているとか!
コルシカ料理の極上の食材と、至高のおいしい食べ方を知り尽くしているバティさんに、コルシカならではのグルメを紹介してもらいました。
フィガデーリ
コルシカ人の知恵と経験を凝縮させた逸品!コルシカの豚は山で放し飼い同然で育てられています。そんな豚の肉と内臓を3日間くん製にしてサラミに。豚の内臓を使ったサラミはフランスでもここだけ。暖炉でこんがり焼いたフィガッテーリをパンにはさんだ味は格別。コルシカでしか味わえないおいしさをぜひ堪能してください。
ニッチュウ
原料は山の恵み、栗。山が多いコルシカでは小麦を育てられる平らな広い畑はなく、小麦粉の代わりに山の栗の粉をひいていました。栗の粉を使って作られたパンケーキがニッチュウ。コルシカの人たちにとってはおふくろの味。ほんのりと栗の風味、甘みが感じられる、コルシカ人の食卓には欠かせない一品です
ヤギのチーズのボール揚げ
かつて山岳地帯で牧畜を行っていたコルシカ人。そんな生活習慣の名残を感じる一品。ヤギの乳から作ったクリーミーなチーズに衣をつけて揚げるだけ。シンプルな調理法でありながら、口の中に入れると甘みがとろ~り広がります。その味はたまりません。
街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!
バスティアから列車と車を乗り継いで約2時間、山間の小さな村ピーニャ。
芸術家の集まる村として、フランスでも名高いんです。歩き出して、すぐに聞こえてくるのは弦楽器の調べ。音色にひかれて歩いて行くと、見たことのない弦楽器を弾いている男性が!聞けば、チェトラという中世の伝統楽器でした。
美しい音色の伝統楽器を作るギター職人、18世紀の図版をすり減らさないように大切に使い続ける版画家。この村の芸術家は、それぞれこだわりを持って創作に励んでいました。
そして、路地で出会ったおじいさんは、パリで学び、ローマで活躍したという画家。もう40年もこの村で創作活動を続けているという彼に、ピーニャの村が芸術家をひきつけてやまない魅力を聞きました。
その答えはとは!?