ショーン・コネリー&マイケル・ケインの傑作!

王になろうとした男【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

2月21日(水)[BS]午前1:50〜4:00 ※火曜深夜

今回ご紹介するのは、ショーン・コネリー、マイケル・ケイン、名優共演の冒険物語です。

19世紀後半、イギリス人のカーネハンと友人のドラボットは、アジアの秘境カフィリスタンの“王”になることを決意します。さまざまな苦難を乗りこえ、部族のもとにたどり着いた2人は、村の男たちに英国式の軍事教練を行って信頼を得ていきますが…。

見どころはイギリスの2大名優の共演。カーネハンを演じるのはショーン・コネリー。1930年生まれ、“初代007”ジェームズ・ボンドで世界的スターとなりました。アクション映画はもちろん文芸ドラマなど幅広いジャンルの作品に出演し、「アンタッチャブル」(1987)でアカデミー賞を受賞。4年前、90歳で亡くなりました。
ドラボットを演じるマイケル・ケインは1933年生まれ。170本以上の映画やドラマに出演し、「ハンナとその姉妹」(1986)「サイダーハウス・ルール」(1999)で2度のアカデミー賞を受賞。去年90歳で、俳優活動引退を表明しました。本作撮影時は40代だった2人は、1957年に放送されたテレビドラマで共演して以来の友人で、息もぴったりです。

脚本・監督は名匠ジョン・ヒューストン。1906年生まれのヒューストンは、青年時代にボクサーや放浪生活を送ったのちに映画界入り。ダシール・ハメットのハードボイルド小説を映画化した「マルタの鷹」(1941)で監督デビューします。その後、ハーマン・メルヴィルの古典「白鯨」(1956)、スティーブン・クレインの小説を映画化した「勇者の赤いバッヂ」(1951)、女性の小説家カーソン・マッカラーズ原作の「禁じられた情事の森」(1967)、レナード・ガードナー原作の「ゴングなき戦い」(1972)、遺作となった、ジェームズ・ジョイス原作の「ザ・デッド/『ダブリン市民』より」(1987)と、数々の傑作文学を映画化してきました。本作は「ジャングル・ブック」などで知られ、1907年、イギリス人初のノーベル文学賞を受賞したラドヤード・キプリングの小説が原作。キプリングの大ファンだったヒューストン監督は長年映画化を構想してきたということです。

モロッコでロケが行われ、撮影のオズワルド・モリス、美術のアレクサンドル・トローネル、音楽のモーリス・ジャールと、超一流のスタッフの技も光ります。友情と絆、夢の果ての結末に胸が熱くなる傑作です。

来週の深夜はロバート・ロッセン監督の名作西部劇「コルドラへの道」(1959)、ジョン・フォード監督の傑作ヒューマンドラマ「長い灰色の線」(1954)も放送いたします。どうぞお楽しみください!

プレミアムシネマ「コルドラへの道」

2月20日(火)[BS]午前1:50〜3:55 ※月曜深夜

プレミアムシネマ「王になろうとした男」

2月21日(水)[BS]午前1:50〜4:00 ※火曜深夜

プレミアムシネマ「長い灰色の線」

2月23日(金)[BS]午前2:10〜4:28 ※木曜深夜


坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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