これまでの街歩き

ソウル・ミョンドン/ 韓国

2010年11月14日(日) 初回放送

語り:中嶋朋子

撮影時期:2010年9月

世界地図

地図

場所

人口1000万、アジアを代表する大都市として成長している韓国の首都ソウル。その中で最も古い繁華街がミョンドン(明洞)です。ソウルを東西に流れる大河・漢江(ハンガン)の北側、そのほぼ真ん中に位置する400メートル四方のせまい地域で、最寄り駅は地下鉄ミョンドン駅。
最近、漢江の南側にできた新都心カンナムと並ぶ流行の発信地で、一日に100万人もの人が訪れるといわれます。メインストリートには一流ブランドや化粧品メーカー、ファストフードなど、ファッションやグルメのショップが数多く出店。「韓国の流行はミョンドンで生まれる」といわれ、さまざまな店が激しく入れ替わっています。時代を先取りする変化の激しい街ですが、一歩路地裏に入ると、昔ながらの街並みと人情あふれる暮らしが今も残っています。

Information

トースト屋さん

ソウルの人気の朝食メニューはトースト。日本で見るようなトースターでただ焼いただけのものではなく、玉子焼きとハムを食パンにはさんで鉄板で焼き上げたもの。味付けには砂糖を使い、独特の香ばしい味を生み出します。ミョンドンに並ぶトースト屋さんのワゴンでは、それぞれ味を競っています。
そんなトーストの新メニューをご紹介。ヨ・ヨングさんとイ・ウォングンさんご夫婦はトースト屋さんを始めて30年。彼らが開発したのが「ハンバーガートースト」。ハンバーガーのパンを使い、野菜と、新たに開発したソースを使ってボリュームたっぷりに仕上げました。「これなら、若い人もおなかいっぱいになるよ」これまでのトーストでは、1個では物足りず、何個も買う若者が目立っていたからだそうです。

ミョンドン芸術劇場

日本の統治下にあった時代、ミョンドンは「明治町」と呼ばれ、「明治座」という名の劇場がありました。この明治座が、現在のミョンドン芸術劇場の前身。ミョンドン商店街繁栄会会長のキム・ジャファンさんは「ミョンドンはこの劇場があるから繁栄した。ミョンドンの始まりの場所ですよ」といいます。その当時、映画や演劇は最高におしゃれなものだったのだとか。劇場の前には飲食店や洋服店がたくさん集まり、繁華街に成長していったそうです。
そんな街のシンボルともいえる劇場に危機が訪れたのは20年前。劇場を高層ビルに建て替えようという計画が持ち上がったのです。キムさんは多くの仲間に呼びかけ、保存運動を開始。そして、15年の歳月をかけて100万もの署名を集め行政を動かし、ついに劇場を守ったのでした。
2009年6月には全面的な補修を行い、内部は最新の設備を備えた劇場として生まれ変わりましたが、外側は昔のままの姿で残されています。

ミョンドン占い事情

ミョンドンには「占い屋台」や「占いカフェ」がたくさんあります。四柱推命や姓名占い、タロット占い…。まさに占いブーム!占い師の一人、クオン・ヒスクさんは、「流行の背景には、韓国が過酷な競争社会であることも関係しているのでは」といいます。とくに、将来への期待と不安をもった若者の間で流行しているのだそうです。
「たとえ占いが悪く出ても、本人が自覚を持って努力すれば未来をよくすることはできる。そうするにはどうすればいいのか、話を聞きアドバイスするのです。わたしの仕事は占いというよりもカウンセリングに近いかも」とクオンさん。「占いの流行は、繁栄の陰にある人々の不安のあらわれなのかもしれません」とも話してくれました。

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