これまでの街歩き

牛追い祭りの街
パンプローナ/ スペイン

2017年9月12日(火) 初回放送

語り:松田洋治

撮影時期:2017年6月

世界地図

地図

場所

 スペイン北東部ナバラ州の州都、パンプローナ。フランス国境沿いのピレネー山脈南西のふもと、パンプローナ盆地に位置し、蛇行するアルガ川沿いにひろがる人口約20万の街です。
 紀元前1世紀にローマの将軍、ポンペイウスが築いた砦(とりで)が街の始まりで、その城塞は時代とともに増改築を繰り返し、いつしか要塞都市として知られるようになりました。パンプローナという街の名前も、ポンペイウスに由来しています。
 中世には、現在のフランスとスペインにまたがる領土を持ったナバラ王国の首都として栄え、宮殿や教会、橋など歴史的建造物が数多く残っています。

Information

サン・フェルミン祭の牛追い

 世界中から見物客が訪れるサン・フェルミン祭は、毎年7月6日から14日まで開かれます。その最大の呼び物は勇壮な「牛追い」。
 朝8時にサント・ドミンゴ通りの囲い場から放たれた6頭の牛を、850メートル先の闘牛場まで追い込むのです。牛を追う男たちが首に赤いスカーフを巻いているのは街の守護聖人サン・フェルミンが首を切り落とされて殉教したことを忘れないため、と言われています。
 牛追いのコースには、牛が曲がりきれず柵に激突してしまう大きなカーブや、疲れてスピードが落ちてきた牛の前を走るチャンスがある通りなど、名物スポットがいくつもあり、観客の熱狂を誘います。街を駆け抜けてきた6頭の牛は最終目的地である闘牛場へと追い込まれ、午後に開催される闘牛に登場することになるのです。

食べ歩きグルメ

街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!

グルメな画家、70歳のエドルタ・ルムバさんがパンプローナならではの味を紹介してくれます。

トルタ・デ・チャンチゴリ

ラードを使った甘いお菓子。ナバラ州は山がちでオリーブがとれない地域もありました。だから代わりにラードを使う料理も発達したのです。チャンチゴリとは豚の皮を干したもの。これを細かく刻んで生地に混ぜ込むのです。貴重な豚は余すところなく使うというわけ。豚肉のお菓子?と驚くかもしれないけれど、コリコリした独特の歯触りが癖になるおいしさです!

バカラオのアホアリエロ風

バカラオとは塩漬けにして干したタラのこと。海のないナバラ州では貴重な食べ物でした。これを特産の赤ピーマンやトマト、ニンニクなどを炒めたソースでさっと煮た料理です。ちなみにアホとはスペイン語でニンニク、アリエロは昔ロバで物資を運んでいた人たちのこと。彼らが日持ちのする食材を利用して生み出したのがこの料理だと言われています。

チストーラ

チストーラは長い腸詰めのことで、豚肉、塩、ニンニク、パプリカで作ります。地元っ子はこれが大好きで、毎年コンクールも開かれるほど。2016年のコンクール優勝者カルロス・イリギルベさんのお店では1日250本は売れているそうです。焼いた時に出る脂はパンと相性抜群!ビールやワインが止まらなくなりますよ。

ちょっとより道

街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!

美食家の憧れ!塩の街アニャナ
語り:濱田マリ

 今回は世界中のグルメが憧れる最高級の塩が作られているアニャナへ。
 塩の街アニャナがあるのはナバラ州のお隣、美食の地として知られるバスク州です。パンプローナから車でおよそ1時間半、到着した場所は山の中で、まるで古代遺跡のような風景。黄土色の段々畑のように広がっているのは、木と石でできた古い塩田です。 山の中に塩田?その仕組を伺うと…塩田の下には塩を含んだ地層があり、地下水がそこを通ると塩水になる。その塩水がここの泉に湧き出し、その水をひいて塩田にしているのだとか。2億5000万年前にここにあった太古の海の恵み、なのだそうです。なんてロマンチック!
 作業中の職人さんが塩田からすくってみせてくれたのは「塩の花」。大粒の塩の結晶です。太陽の具合にもよるけれど、だいたい1日半あればこの「塩の花」ができてくるのだそうです。「俺たちの親方が誰だか知ってるかい?…太陽さ!」なんともかっこいい職人さんの一言でした。

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