これまでの街歩き

パリ・バスチーユ地区/ フランス

2010年1月14日(木) 初回放送

語り:矢崎 滋

撮影時期:2009年10月

街の「船上のマダム」

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バスチーユ広場のすぐ南にあるのがアルセナル港。セーヌ川につながるサン・マルタン運河の起点になる船だまりです。
たくさんの船が停泊する中、デッキでコーヒータイムを楽しむマダムに出会いました。マダムは船で暮らす水上生活者。天気のいい日はデッキに出て過ごすのが日課です。
「ここはパリの天国なのよ」と言うマダム。船での生活は、もう35年にもなるんだとか。
「こうした船での暮らし、パリッ子だって知らないわよ。タクシーの運転手さえね」と、長年パリの移り変わりを眺めてきたマダムは教えてくれました。
船のへさきには鉢植えの花が咲いています。都会の真ん中で、ゆったりとした時間が流れる水上生活。マダムのほかにも、パリには船で暮らす人たちが多くいます。

街の「緑の遊歩道」

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オペラ・バスチーユから東南へのびる「緑の遊歩道」へやってきました。この遊歩道は、近年始まった居住環境に緑を取り入れるビオトープと呼ばれる都市計画の一つとして、1960年代に廃線になった鉄道の高架跡を整備してつくられました。今ではサイクリングや散歩など、パリ市民の憩いの場になっています。
緑が多く、ここに植えられている植物の種類は約400種にも及びます。メキシコオレンジやクマザサなど、フランス原産ではない種も多く、自然界ではありえない植物の組み合わせで利用者の目を楽しませてくれます。
パリの古い街並みを見下ろしつつ、時代に合わせて姿を変えた高架跡。「緑の遊歩道」と名前を変えた今、人々に愛されるスポットになりました。

街の「革職人」

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バスチーユ地区の職人街で、メインストリートに面した路地を発見。石積みの壁を抜け、奥へ進むと赤い門が見えてきました。
門をくぐった先は革製品を扱う職人さんたちの工房でした。仕事場を見せてもらっていると、なかなか手慣れた手つきの女性が。話を聞くと、実はこの女性、この日の朝から働き始めたばかりだとか。専門学校で革の加工の資格をとったあと、昔の手仕事が残るこの職人街へやってきたのだそうです。
「ここで働くことは職人として名誉なことなんですよ」と、女性は教えてくれました。
時代の変化により、少なくなっているという職人の数。でもその工房の中では、しっかりと次世代の職人が育っていることを知った、うれしい出会いでした。

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