これまでの街歩き

アルプスが見える街Ⅰ
アヌシー/ フランス

2010年9月5日(日) 初回放送

語り:矢崎 滋

撮影時期:2010年6月

街の「藤の花の館」

Photo

ティウー川に沿う遊歩道を歩いていると、緑の葉っぱに覆われた建物を発見。近づいてみると、地面から一本の木が伸びていて、その葉っぱが建物全体を覆っています。
最上階のベランダにいるマダムに声をかけると、親切に降りてきてくださいました。「これは藤の木で、樹齢50年ほど。川まで根を伸ばして水を吸い上げているからこんなに大きくなったのよ」と…。
藤の花が咲いた時の写真を見せてくれるというのでご自宅にうかがいました。アヌシーの旧市街には、12世紀~17世紀の建物が数多く残されていて、この“藤の花の館”も400年前の建物なのだとか。階段も手すりも趣があります。ベランダに出ると、まさに絶景!アルプスの山々とイタリアのベネチアのような美しい街並みが広がっていました。藤の花の写真を見せてもらうと、花の色は真っ白。4月に開花し、アルプスのふもとに春の訪れを告げるのだそうです。花が散ると、緑の葉っぱが天然のカーテンに。食事は決まってベランダでするそうです。うらやましいですね。

街の「お花屋さん」

Photo

旧市街の路地では青空市場が開かれていました。そのにぎわいには、中世以来、アルプスの交通の要衝として栄えた昔の面影を感じます。特産のチーズを並べるお店や、近郊でとれた新鮮な果物を扱うお店、ソーセージやハムを売るお店などが、所狭しと並んでいます。
そんなマルシェの一角でお花屋さんを発見。白い可憐(かれん)な花をお買い上げの女性は、花の名はエーデルワイスだと教えてくれました。歌でも有名なアルプスを代表する高山植物です。「野生のものは保護されていて、ここのは栽培もの。これは幸福を呼ぶ花よ」と。確かに花びらがお星さまのように広がっていて、幸せを運んできてくれそうです。「お客さんが私たちの幸福を持っていってしまうよ」そう言いながらもお店の人は笑っていました。それにしてもエーデルワイスが幸せを呼ぶ花だったとは…。
アルプスのふもとならではの発見でした。

街の「魚のような犬」

Photo

ティウー川沿いは、旧市街を抜けると緑がいっぱいの遊歩道になります。歩いていると「ドボンッ」と、誰かが水に飛び込んだ音が…。行ってみると、川に突き出たウッドデッキで、男性が愛犬を遊ばせているところでした。
木立の葉の色を映した深緑色のティウー川で、気持ち良さそうに泳いでいるのは、6歳のメス犬・キカ。ご主人さまの投げる木の枝をくわえて、うれしそうに犬かきをしています。以前は南フランスのマルセイユに住んでいて、ドアを開けるとすぐに海がある環境で育ったんだそうで、飼い主さんは、「キカは水の中で大きくなったようなもの。犬というより魚かな」と笑っていました。心理学者だという彼に、ペットと仲良く暮らす秘訣(ひけつ)を聞いてみると、「飼い主が誰か、きちんと理解させること。そして、犬はオブジェではなく、それ以上のものだって、いつも思うこと」と答えてくれました。
優しい飼い主さんのまなざしを受けて、アルプスの自然を満喫するキカ。まるで魚のように川の中を自由に泳ぎまわっていました。

※NHKサイトを離れます
ページトップ