世界ふれあい街歩き

場所

イタリア北西部の海外線に沿って広がるリグーリア州の州都・ジェノバ。人口は約60万。古くから海洋貿易で栄え、ベネチア、ピサ、アマルフィと並ぶ海洋都市共和国のひとつでした。新大陸発見の航海で有名なコロンブスも、この街の生まれです。
ジェノバがもっとも栄えたのは16～17世紀。この時代に建てられた数多くの宮殿や豪邸は今もその壮麗な姿を残し、かつての栄光を現在に伝えています。
ヨーロッパで一番大きいといわれる旧市街には、狭い路地と暗い坂道が迷路のように連なり、ジェノバ出身の世界的建築家レンゾ・ピアノの設計で再開発された港湾地区には近代的で開放的な風景が広がっています。
ジェノバはさまざまな顔を持つ魅力的な港町です。

ジェノバ風ペースト

ジェノバ名物のジェノバ風ペースト。
作り方を教えてくれるのは、2007年のジェノバペースト世界大会で準優勝を果たした、料理自慢の薬剤師、マウリッツィオ・バッレさんです。
ジェノバ風ペーストは大理石の乳鉢で作ります。ジェノバの各家庭には代々伝わる乳鉢があって、彼の乳鉢はなんと150年物だそうです。

材料は７種類。
ジェノバ産バジリコ(４わ)、松の実(30ｇ)、パルミジャーノ･レッジャーノ(45～60ｇ)、サルデーニャ産ペコリーノチーズ(20～40ｇ)、ニンニク(１～２片)　、大粒の海の塩(10ｇ)、エキストラバージンオリーブオイル(60～80cc)

これに何かを足しても、何かが足りなくても、入れる順番を間違えても、正しいジェノバ風ペーストにはならないのだとか。
気になるその作り方は…

①ニンニクを乳鉢ですりつぶす。
②塩を少々入れる。
③バジリコを加える。バジリコはジェノバ郊外のプラという地区でとれたものを使います。
④松の実を加える。
⑤パルミジャーノ･レッジャーノとサルデーニャ産ペコリーノチーズを加える。
⑥すべての材料がすりこぎにくっついて落ちてこなくなるまで混ぜる。
⑦最後にエキストラ・バージン・オリーブオイルを加えて出来上がり。

酸化を防ぐため、調理はできるだけ短い時間ですること。
色はキレイなエメラルドグリーンになるはずです。どんなパスタにも合う一品です。

ジーンズ発祥の地

ジェノバは木綿生地製造の中心地として、世界的に有名でした。ロンドンではジェノバから届いた木綿生地の箱にジェノバを意味する「GENES(ジェーン)」という文字を書いていました。これが英語の「JEANS」の語源となったのです。
ジーンズの起源は、キャンバス地をインディゴで染めたものですが、ジェノバでは1600年代から1800年代にかけて、すでにインディゴ染めの木綿の服はとてもポピュラーなものでした。この生地で作られた当時のデザインのドレスや、16世紀の教会に飾られていたタピスリーなどが今も美術館に保存されています。
現在、ジェノバの街ではジーンズ発祥の地としての誇りを取り戻すべく、さまざまなイベントが行われています。番組で紹介した巨大なパッチワークジーンズは、2004年にデザイン学校の生徒たちが取り組んだ作品です。使われたジーンズはすべて若いジェノバっ子たちが寄付したもので、その数は1000本以上にも及びました。全長はなんと18ｍもあり、あまりの大きさに、持ち上げるにはクレーンが必要なほどでした。
▼ジーンズ生地タピスリーの美術館　Museo Diocesano Genova
▼ジーンズ生地ドレスの美術館　Museo Daphne, Sanremo

ダルベルティス城

街の西の高台にそびえ立つダルベルティス城(世界文化博物館)。19世紀のジェノバの旅行家エンリコ・ダルベルティスが、古い城塞(じょうさい)跡に建てたネオゴシック様式の城です。
裕福な貴族の家に生まれたダルベルティスは、自ら船を建造し、世界中を旅してまわりました。この博物館には彼が世界中から持ち帰ったコレクションが集められ、展示されています。カモノハシの剥製(はくせい)、万里の長城の一部といわれる石、コロンブスが新大陸発見の航海で初めて上陸したサン・サルバドル島のビーチの砂、などなど、考古学的、民俗学的に重要なものから珍妙なものまで、ダルベルティス独特のテイストで集められたコレクションの数々は、ほかでは見られないものばかりです。
城の中にはダルベルティスの船の内部が再現された「船長室」と呼ばれる小部屋があって、海が恋しくなった夜には、彼はこの部屋のベッドで眠ったそうです。
ダルベルティス城へは、バルビ通りから乗るリフトが便利です。リフトを降りて正面にあるのが城の門です。
＜開館時間＞火曜～金曜　10時～17時／日曜　10時～18時
※季節によって変わるので要確認