2016年4月12日(火) 初回放送
語り:八嶋智人
撮影時期:2016年2月
ヘレスは、スペイン南部アンダルシア地方の都市。温暖な気候から、ローマ時代から、ぶどうとワインの産地、さらに貿易の拠点として栄えてきました。
特に、特産品のシェリーは、ヘレスの周辺地域でしか作られていないお酒です。大航海時代以降にシェリー作りは街を支える産業となり、18〜19世紀には多くのシェリー富豪が生まれ、街の発展に貢献しました。シェリー富豪たちの住んでいた豪邸は、今でも街じゅうに点在し、イスラム統治時代の史跡とともに、独特の街なみを作り上げています。
ヘレスっこは、フラメンコとシェリー、さらに馬が大好き。特に、春先のフラメンコ祭りと、5月の馬祭りは盛大に行われ、国内外から多くの観光客が集まります。
ヘレスは、8世紀から12世紀にかけて、イスラム教徒の支配下にありました。街の正式名称は「ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ」。「フロンテーラ」とはスペイン語で「境界」の意味。ここは、数世紀に渡って、キリスト教徒とイスラム教徒がせめぎあってきた「境界の街」でした。そのため、国境を越えて さまざまな文化が入ってきました。
フラメンコもその一つ。一説には、西インドにルーツを持つ「ヒターノ」、つまりロマの人々が持ち込んだ歌や踊りに、アンダルシアやイスラムの音楽などが融合したものだと言われています。
また、シェリーは英語で、イスラム時代の街の名前「シェリシュ」が語源。16世紀頃、海賊の手によってイギリスに持ち込まれたシェリーが大ブームを巻き起こし、その後、世界に広まりました。今では、地域に60もの酒蔵があります。
街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!
ヘレスでグルメと言ったら、当然シェリーを使ったお料理!シェリー専門家のパオラさんに、ヘレスならではのグルメ、教えてもらいました。
もちろん、シェリーを飲みながらいただいてください。
トリハ
キリスト教の聖週間にいただくスィーツ。家庭でも作られます。食パンを、シェリー、さらに とき卵に浸し、ヒマワリ油で揚げて、濃い口の甘いシェリーをかけたら、出来上がりです。フレンチトーストみたいですが、濃い口シェリーの香りで、正に大人の味わい。
マグロのミートボール
大西洋の新鮮なマグロをミンチにして、タマネギや生ハムの脂などを練り込んでボール状にしたものを、オリーブオイルで揚げます。更に、スパイスを効かせたニンニク・スープとシェリーで煮込んだら、出来上がり。海の香りがたっぷり楽しめます。
小エビのアヒージョ
小エビのオリーブオイル煮込みですが、辛口シェリーを入れて煮立たせるのがヘレス流。ニンニクもたっぷり効いて、ワイルドな味わいです。
街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!
ヘレス駅から車で10分。王立アンダルシア馬術学校は、1973年に王家が開校した、乗馬や馬具作りなどを教える学校で、アンダルシア原産のスペイン純血種の馬を集めています。馬たちが音楽に合わせて踊る馬術ショーは世界的にも有名です。
馬術ショーの会場を探して校内を歩いていると、女性教官が女学生に乗馬を教えていました。スペイン純血馬は高貴な馬で美しい上に、おとなしく、素人でも扱いやすい馬なんだと教えてくれました。
さらに歩いて行くと、馬術ショーに出演する騎手のおじさんと馬に出会いました。ここで披露されるのは、17〜18世紀からヨローッパに伝わるクラシック馬術で、繊細かつ高度なものなんだとか。
さっそく、馬術ショーを鑑賞。大勢の馬たちが、斜めに歩いたり、クロス行進したり、ジャンプしたり、大迫力!お客さんたちも大満足のショーでした。