これまでの街歩き

風の街
トリエステ/ イタリア

2017年2月7日(火) 初回放送

語り:竹内結子

撮影時期:2016年10月

世界地図

地図

場所

 北イタリアの東の付け根にある港街、トリエステ。東ヨーロッパと接し、アドリア海を望む「海の玄関口」だったことから、古くから多様な民族が集まってきました。そもそも「トリエステ」はラテン語の「商業の都」に由来し、古代ローマ時代に誕生したと考えられています。商業都市としてベネチアと肩を並べるほどの発展を遂げたものの、14世紀末から20世紀初めまでオーストリア・ハプスブルク家の支配を受け、第1次世界大戦後の1918年にイタリアに併合。第2次世界大戦後には、ユーゴスラビアの支配を受け、1954年にようやくイタリアに復帰します。
 街には古代ローマ時代の遺跡、オーストリア統治時代に建てられたネオ・クラシック調の建築、セルビア正教やギリシア正教の教会や旧ユダヤ人街まで、多様な人々と文化が街を彩っていた痕跡が数多く残されています。歴史に翻弄されながらも、異文化をおおらかに受け入れてきた、イタリアでは珍しい街です。

Information

コーヒーの都

 「商業の都」として発展したトリエステ。その繁栄の歴史にはコーヒーが深く関わっています。18世紀、トリエステがベネチアに代わって、アフリカからヨーロッパへのコーヒーの重要な経由地点になると、当時、この地を統治していたオーストリアの女帝、マリア・テレジアが、""小さなウィーン""と呼ばれる美しい街並みを整備します。
 19世紀、街にはウィーン風のカフェが造られ、アイルランドの作家ジェームズ・ジョイスやドイツの詩人リルケなど各国の文豪が集い、国際的なカフェ文化が発展。その名残で、いまもトリエステでは、ウィーン風、アイルランド風など30種類以上のコーヒーの飲み方を楽しむことができます。カフェの国イタリアの中でも、トリエステの1人当たりのコーヒー豆の消費量は全国平均の2倍。トリエステ人の血はとりわけカフェインが濃いのだとか…。

食べ歩きグルメ

街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!

とっておきの地元グルメを紹介してくれるのは、トリエステの仲良し3人娘。イタリア系のバレリアさん、スロヴェニア系のサラさん、オーストリア系のエレノラさん。多民族が集うトリエステの街ならではの、それぞれのルーツにちなんだ料理を紹介します!

プレスニッツ

19世紀初め、当時のオーストリア皇帝が絶賛したと言われる焼き菓子。中にはクルミと干しブドウのあんがぎっしり!ちょっぴりラム酒も効いていて、甘さ控えめでエレガントな味わいです。ユニークな丸い形には「食べたら、必ずまたトリエステに戻ってくる」という意味が込められています。

グラシュのニョッキ添え

東ヨーロッパでは おなじみの牛肉を煮込んだ料理。牛肉と玉ねぎ、トマトなどの野菜にパプリカを加えて、じっくり煮込みます。付け合わせはジャガイモの粉をこねて作ったイタリア風の団子ニョッキ。スタミナたっぷり!意外と肉食系のトリエステっ子にも人気のメニューです。

ブロデット

港町トリエステの代表的な家庭料理。新鮮なアンコウやエビなどさまざまな魚介類を素揚げにして、じっくり煮込んだトマト風味の海の幸スープです。もともとはこの地方の漁師さんたちのレシピ。コクがあるスープは寒い冬の季節、カラダを芯から温めてくれてくれます。これでどんなに冷たい北風ボーラが吹いても、大丈夫!

ちょっとより道

街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!

世界最大級の鍾乳洞グロッタ・ジガンテ
語り:温水洋一

 トリエステからバスで約1時間、世界最大級の観光用鍾乳洞グロッタ・ジガンテを訪ねます。
 途中迷いこんだ農家の食堂では、地元のおじさんたちが手作りワインを飲みながら、午前中からワイワイ盛り上がっていました。この地域は鍾乳洞と同じ石灰岩でできたカルスト台地が広がり、ブドウ栽培にも適しているのだとか。
 目的地のグロッタ・ジガンテでは、合計1000段の階段を上り降りする全長850mのコースを探検します。洞窟内の一番大きな大ホールは、あのバチカンのサン・ピエトロ大聖堂がすっぽり納まってしまうほどの巨大な空間!不思議な形をした鐘乳石が無数に乱立する様はまさにSFの世界…。7000万年以上の年月をかけて、生み出された自然の神秘です。鍾乳洞の奥では、人々が集まって地元産のワインの試飲会が開催されていました。トリエステの「山」の魅力を堪能します。

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