これまでの街歩き

「幸せ」の住む街
バイヨンヌ/ フランス

2017年8月29日(火) 初回放送

語り:田畑智子

撮影時期:2017年5月

世界地図

地図

場所

 首都パリから南西へ約1200km、スペインとの国境近くに位置するバイヨンヌ。人口約4万6千。ピレネー山脈を境にフランスとスペインにまたがるバスク地方の中で、フランス側の中心都市として栄えたバイヨンヌは、独自の文化と伝統を受け継ぐバスクの人たちが暮らす街です。
 バスク語で「川」を意味するバイヨンヌは、街の中心に大西洋から注ぐアドゥール川が流れています。旧市街はこのアドゥール川が注ぐニーヴ川を挟んでグラン・バイヨンヌとプチ・バイヨンヌに分かれています。
 古代ローマ時代に街道筋の街として栄えたグラン・バイヨンヌには街の台所である市場があり、シンボルであるサント・マリー大聖堂があります。一方プチ・バイヨンヌにはバスクの伝統を伝える博物館があります。

Information

生ハムがつなぐ街の歴史

 美食の地として知られるバスク地方の中でも特に有名なのが、バイヨンヌハム。長い時間をかけて熟成されるバイヨンヌハムは、バスクの人たちの絆をつなぐ大切なものとされてきました。今もその象徴となっているのが、毎年バイヨンヌで行われる「生ハム祭り」です。1462年に始まった祭りは、地方に散らばって暮らすバスクの人びとが集い、語り合う場として555年続く重要な伝統なのです。
 そもそもこの地方で生ハム作りが始まったのは12世紀のこと。農家の男たちが猪豚(イノブタ)の肉の保存方法を考え出したのがきっかけといわれます。その保存を可能にしたのが、古代に隆起してできたピレネー山脈の地中に閉じ込められた海水だったのです。塩が溶けこんだ地下水をくみ上げ、塩を作り、熟成させた生ハムは長い間この地方の人びとだけが知る特別な食べ物でした。
 そんな生ハムが世に知られるようになったのは一時領土にしていたイギリス軍によって。その後はルイ11世やアンリ4世が政治の交渉の場に生ハムを用いるほど重要なものになりました。今も昔も、バスクの人びとは集まる時には必ず生ハムを用意して話に花を咲かせるのが習わしです。

食べ歩きグルメ

街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!

おいしいものがいっぱいあるバイヨンヌのグルメの中からよりすぐりのものを紹介してくれるのは、地元の女子ラグビーチームのメンバーたち。なんとフランス第二リーグのチャンピオンという、パワフルな5人組です。厳しいトレーニングで疲れた体を満たしてくれるオススメは?…街で人気者のラグビー女子が路地をパワー全開に走り回って紹介します!

ガトーバスク

フランス・バスク地方に17世紀から伝わる伝統菓子、ガトー・バスク。毎年お祭りやコンテストが開かれて腕が競い合われるほど街の人たちが注目をしているお菓子です。店によってはジャムなどを入れたりと色んな味を楽しめるガトー・バスクですが、今回紹介するのは伝統のど真ん中、甘さ控えめのカスタードクリームがたっぷり入ったものを紹介します。砕いたアーモンドが練り込まれた生地はサクサクで中はシットリ。パーティー用の特大サイズから、片手に収まるサイズまで選べるので、その日の気分次第で!

ショコラムソー

フランスで初めてチョコレートが作られたバイヨンヌならではの一品をご紹介。甘みが少なく、さっぱりとした飲み心地を楽しめるショコラムソーは、そのままでも良し、生クリームをトッピングして味わうもよし。特殊な棒を使って人の手で一つひとつ泡立てられるので、カップの上にはコンモリとふわふわの泡が出来ちゃうんです!飲むときに泡が口に付いてしまうのも気にさせない程の深い味わいが堪能できます。

バイヨンヌ・バーガー

バイヨンヌの美食を全て挟み込んで作られる、その名もバイヨンヌ・バーガー。自然を表すバスクの十字架をゴマであしらったバウンズの中に入るのは、バイヨンヌハムと特産のブルビチーズ。熟成された味わい深い生ハムと、さっぱりとして滑らかな羊のチーズの相性はバツグン。新鮮な野菜とともにギッシリと詰め込まれたバーガーは顎が外れちゃうほどのボリュームです。

ちょっとより道

街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!

ピレネーで国境をまたぐ ~ラ・リューヌ山~
語り:つぶやきシロー

 今回目指すのは、バイヨンヌからバスを乗り継いで2時間ほどのところにある「ラ・リューヌ山」。ピレネー山脈の一つで、その山頂はスペインとフランスの国境になっています。標高905メートルのラ・リューヌ山には100年前に造られたクラッシックな登山列車で登ることができるので、気軽に行けると人気の観光地です。
 急斜面を登る列車から見える景色は見応え十分、飽きることなく35分で頂上に到着。たくさんの観光客とともに見えてきたのは…大西洋と街並みが美しいフランス・バスク地方、そして鮮やかな緑の山々と点在する村が続くスペイン・バスク地方。山脈を境に広がるバスク地方が一望できちゃいました。
 ここで旅の目的であるスペインとフランスの国境の線を探しはじめるのですが…どうもハッキリしません。近くにいた男性も国境を知らないんだそう。そこでこの男性と国境を探したところ、なんと驚くべき事実が判明!線ではなく国境は石?通りかかった女性に教えてあげると、この人も国境を知りませんでした。皆さん余り国境を意識していないようです。
 と、帰りの電車を確認しておこうと駅員さんに尋ねると、なんと最終列車は既に行ってしまったというではありませんか。気楽な旅のつもりが岩山を歩いて下りるはめに。やっとの思いで途中まで下山したところで馬たちと遭遇。あと何時間あるけばいいのか聞いてはみるものの、ブヒ~ンという答えだけしか返って来ませんでした。

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