これまでの街歩き

ブラックカルチャーの発信地
NY ハーレム/ アメリカ

2018年7月17日(火) 初回放送

語り:キムラ緑子

撮影時期:2018年4月

世界地図

地図

場所

 ハーレムはニューヨーク市マンハッタンの北部、セントラルパークの北に位置する地区。初期にオランダ人が入植したため、オランダの街、ハールレムにちなんで名付けられました。
 20世紀初頭に地下鉄がハーレムまで開通すると、現在も残るブラウン・ストーンの家が建ち並ぶ美しい住宅地となりました。その後地価が暴落し家賃も下がると、南部から逃れてきた大勢のアフリカ系アメリカ人たちが住むようになり、彼らが生み出した音楽、絵画、文学など黒人文化の隆盛は「ハーレム・ルネサンス」と呼ばれるようになったのです。やがて世界恐慌や戦後の不景気が原因で街は荒廃し、長らく貧困と犯罪の渦巻く危険な地域とみなされてきましたが、1990年代に実施された徹底的な治安改善政策のおかげで環境は急激に改善、再開発も進み、今では「ネオ・ハーレム・ルネサンス」と呼ばれる新たな発展の時期を迎えています。

Information

道の名前

 ハーレムの道には、マルコムXやキング牧師をはじめ偉大な人物の名前が数多く付けられています。その中の3人を紹介しましょう。
 まずはW・E・B・デュボイス。黒人の地位向上を目指した活動家です。南部での人種差別を逃れた大勢のアフリカ系アメリカ人がハーレムに住みはじめると、彼らから新しいアートや音楽が生まれ「ハーレム・ルネサンス」が起こります。デュボイスはそんな芸術家たちの活動も支えた人物です。
 続いてジェームス・ブラウン。「ファンク」という新しいジャンルを切り開いた偉大なシンガーの名前はブラック・エンターテインメントの殿堂、アポロ・シアター近くの通りにつけられました。
 もうひとり、メジャーリーグ史上最高の中堅手といわれたウィリー・メイズ選手。野球はかつて白人と黒人に分けられていましたが、メイズら黒人選手の活躍により人種の壁が破られ、現在のメジャーリーグの発展につながったのです。
 ハーレムに来たら、是非通りの名前に注目してください。

食べ歩きグルメ

街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!

NYのさまざまな料理を紹介するフードブロガー、カッサンドラさん。ハーレム生まれの彼女に大好きな料理を3つ紹介してもらいます。

チョップドチーズ

ハンバーグの表面を軽く焼いたらたたいて細かくします。その上にチーズをのせて溶かし、ヒーロという薄いパンにトマトやレタスと一緒に挟んで出来上がり。このホットサンド、もとはアラブの料理でしたが、ハーレムに来てチーズが入ったことで地元で大ブレイクしたそうです。カッサンドラさんにとって、海外旅行から帰るとまず食べたい「ふるさとの味」なんだとか。

フフとスープのセット

フフはじゃがいものデンプンの粉と水を混ぜて20分ほど煮込んで作る、アフリカの伝統的な主食。西アフリカで主に食べられ、ヤムイモなどからも作られます。好みのスープと一緒に食べるのですが、カッサンドラさんが選んだのはヤギとスモークターキーが入ったパームナットスープ。手でちぎって、そのままスープにつけて食べるのがアフリカ流の食べ方です。ハーレムではいまアフリカ料理が人気で、お店が続々オープンしています。

チキン&ワッフル

焼きたてのワッフルにフライドチキンを添えた料理。オススメの食べ方はワッフルだけではなく、フライドチキンにもメイプルシロップをたっぷりかけること。もともとチキンにスパイスをつけこんでいるから、甘辛ミックスな味がやみつきになってとまりません!

ちょっとより道

街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!

300年変わらぬ暮らし ランカスター
語り:つぶやきシロー

 気分を変えてちょっとより道!今回はニューヨークから電車で3時間のペンシルベニア州ランカスターを訪ねます。
 ランカスターには18世紀の生活をそのまま続ける「アーミッシュ」という人たちが住んでいます。アーミッシュはキリスト教の一派で、1700年代にドイツから移住してきた人たち。
 現代文明と距離をおき、移民当時 の自給自足の生活を続けています。車を使わず馬車に乗る、石炭で料理をする、外からの電気は使わない、など 厳しい規則を 守って暮らしています。服も300年前と変わらぬデザインで、目立たないような質素な造りになっています。ボタンも装飾品と考えるので使用せず、針で布を止めて着るのだそう。
 自分たちだけの学校を持ち、特別な教育も行っています。とはいえ、決して地域で孤立しているわけではありません。お互いを助け合い、家族と神様を大切にするアーミッシュの暮らしは、近隣の人々から尊敬を集めているそうです。
 マーケットで手芸品を売っていたアーミッシュの女性は、「お祈りして、神様が決めたことを受け入れて暮らしているだけ」と、穏やかな表情で話してくれました。

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