これまでの街歩き

パレルモ/ イタリア

2009年10月22日(木) 初回放送

語り:八嶋智人

撮影時期:2009年8月

街の「職人通り」

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旧市街の大通りを歩いていると、両側の壁いっぱいに自転車がつるされた路地を発見。これらの自転車は売り物のようで、一軒の自転車屋さんだけでなく、路地の向こうまで店が続いています。店のご主人に話を聞くと、「半分しか見えないものは半分しか売れない」という街の言い伝えがあるのだとか。さらに、「この辺りには職人が集う路地がいくつもあるんだ」と教えてくれました。その通り!すぐ先には金物がずらっと並ぶ路地が。出会った金物屋さんが自慢げに、ピザを焼く棒やサボテンを取る秘密の道具などを見せてくれました。「64年間ここにいるんだ」と、職人通りで働くことに誇りを持っています。皆、にぎやかでパワフルな方々でした。

街の「“地中海の十字路”教会群」

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街の目抜き通りを歩いていると、変わった教会を見つけました。屋上に、まるで大きな赤い帽子をかぶせているかのよう…。この教会は、1154年に建てられたサン・カタルド教会。当時、街の領主であったノルマン人がつくったのですが、大工さんはイスラム教徒がほとんど。そのために、モスク風の教会に仕上がってしまったそうです。
アラブ人、ノルマン人、スペイン人などパレルモの各時代を治めた民族は、前の時代の建物を壊すのではなく、次の文化を融合させて新しい街づくりをしたのです。ミサに来た親子は、「パレルモは異文化にすごく寛容で、優しい街だと思うよ」とほほ笑んでいました。

街の「長屋」

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旧市街の北西部で、水飲み場を囲む古い住宅を見つけました。男性陣はカード遊びに夢中、女性陣はおしゃべりに夢中、その間で子供たちがサッカーに夢中です。何ともほのぼのしている空間。一つの家族かと思いきや、聞いてみると、別々の家族なんだとか。長屋は19世紀の馬小屋を改装して建てられ、こうしてみんなが一緒に暮らすのは伝統的なスタイルなんだそうです。
カード遊びに夢中になるお父さんたちをお母さんと子供たちが呼び、みんなで夕食が始まりました。「ここにいる全員で一つの大きな家族なんだ。力を合わせて生き抜くのさ」と、真剣なまなざしで話してくれたお父さん。血縁を超えた、パレルモの人々の結束力をかいま見た瞬間でした。

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