これまでの街歩き

アルプスが見える街Ⅳ
インスブルック/ オーストリア

2010年9月26日(日) 初回放送

語り:中嶋朋子

撮影時期:2010年6月

街の「鐘工房」

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歩いていると、大きな鐘の音が聞こえてきました。どこからだろうと、一軒のお庭をのぞくと、いたるところに鐘、鐘、鐘…。「ここは鐘工房ですよ」と教えてくれたのは、経営者のご兄弟。工房まで案内して、大きな鐘を見せてくれました。するとご兄弟、突然大きな角材で鐘をひとつき。ゴーン!と、爆発するようなものすごい音が工房中に響き渡ります。
歴史をさかのぼると、皇帝マクシミリアン1世が武器作りのため、近くに鉱山があるインスブルックに鋳造師を集めたことから、鐘を作る技術も発達したのだそうです。
この工房は、インスブルックのみならずオーストリアで最も古い鐘工房といわれ、創業は1599年。代々家族で経営し、彼らで14代目だとか。受け継がれてきた技術で、教会の鐘からベルリンフィルハーモニー管弦楽団の楽器まで、世界中の鐘の製作を手がけているというのだから驚きです。

街の「黄金の小屋根」

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旧市街のメインストリートをつきあたりまで歩くと光り輝く屋根が出迎えてくれます。インスブルックのシンボル“黄金の小屋根”です。15世紀末、皇帝マクシミリアン1世が広場で行われる行事を見物するため、バルコニーを作らせました。その屋根は、金箔(きんぱく)を施した2657枚の銅板瓦で覆われ、バルコニーの手すり部分にはマクシミリアン1世の姿などの精巧なレリーフがはめ込まれています。まさに豪華絢爛(ごうかけんらん)。
黄金の小屋根の周辺に、正装した人がたくさんいました。聞くと、これから結婚式があるとか。実は、建物内部にはインスブルック市の「結婚公証役場」があり、タイムスリップしたような雰囲気の歴史あるホールで、結婚式をあげられるのだそうです。ハプスブルクの栄華の象徴が今も生きているのですね。

街の「山岳救助隊」

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黄金の小屋根の近くで、大勢の人たちがなにやら見上げています。視線の先には、15世紀に建てられた、高さ51mもある時計台。何かと思い目を凝らすと…そこには宙づりになって助けを求める人が!よく見ると、時計の文字盤の前にももう一人。これは、山岳救助隊によるデモンストレーション。山岳救助の様子を子どもたちに見せているのです。
時計台の壁は平らですが、実際の山での遭難救助は悪天候の中、地形が入り組んだ険しい場所で行われます。山が身近なインスブルックでは、救助隊はまさにヒーロー。子どもたちも、あこがれの山岳救助隊をまねて、ロッククライミングに挑戦していました。

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