これまでの街歩き

ソウル・ミョンドン/ 韓国

2010年11月14日(日) 初回放送

語り:中嶋朋子

撮影時期:2010年9月

街の「豆腐料理店」

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ミョンドンの東側、小高い丘にたつミョンドン聖堂は韓国で一番古く大きなカトリック教会です。その聖堂にほど近い細い路地で、朝早くから豆腐作りにはげむ母娘に出会いました。豆腐料理屋さんを始めようという娘に、お母さんが昔ながらの豆腐作りを伝授しているのだそうです。インスタントの食品が多い時代に、子どものころから食べてきた母の味でお店をやっていこうとしているのだとか。
砕いた大豆を大きな釜で煮て、昔ながらの方法でしぼる。その行程では、娘を思うお母さんの厳しくもやさしい指導が。「5年間は教えてあげる。わたしが死んだ後も困らないように」お互いを思いやりながらの路地での豆腐作り。
夕方に、完成した豆腐を見せていただくと約束。「必ず来なさいよ。待っているから」
観光客相手のお店が多いミョンドンで地元のお客さんだけを相手にする小さなお店でした。

街の「靴磨きボックス」

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ミョンドンの北側、高層ビルが林立するビジネス街。街には不思議な黒いボックスが点在しています。よく見ると、ボックスの壁に「靴磨き」の文字が。訪ねてみても、どこも留守にしています。
そこに、両手に革靴をいっぱい持ったおじさんが現れました。聞くと、会社を回り、靴を集めているのだとか。靴磨き暦40年のおじさん。大量の靴を手際よく磨いていきます。靴がどんなにたくさんあっても間違えることはなく、靴底の減り方やデザインで持ち主がわかるのだそうです。
また、韓国では毎日靴を磨く習慣があるとのこと。その理由をたまたまやってきたお客さんに聞くと、「韓国の特権階級だった両班(ヤンバン)の人々が 毎日、髪と靴に気を遣っていた伝統が今もそのまま残っているんだよ」と教えてくれました。

街の「路地」

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人があふれかえるミョンドンの表通りから一歩それると、人影がぐっと少ない「路地世界」が広がります。そんな路地のひとつ、小さな食品店の前で新聞を読んでいるひげのおじいさんに出会いました。
ミョンドン暮らし55年というおじいさん。かつて、ミョンドンには路地がもっとあって、バーや飲み屋がたくさん並んでいたのだとか。「夜になると肩がぶつかるほど人があふれ、けんかも絶えなかったよ」とおじいさんはうれしそうに話します。しかし今はすっかりおしゃれな街になってしまい、昔の“人間臭さ”がなくなってしまったのだそう。「でもね、人が集まるからこそミョンドン。それは変わらない。『腐っても鯛』ということわざがあるけど、『腐ってもミョンドン』だよ」と語るおじいさんの笑顔はちょっとさみしげでした。

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