これまでの街歩き

川越/ 日本

2013年5月21日(火) 初回放送

語り:大友康平

撮影時期:2013年4月

街の「ラジオ体操」

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 蔵通りを東に抜けて、早朝の喜多院を訪ねます。ここは、大友康平さんが高校時代に授業を抜け出してよく来ていた場所なんだとか。喜多院は「川越のお大師様」と呼ばれ、徳川家康の側近を務めた天海大僧正が住職をしていたお寺。江戸城の御殿の一部が今も残されています。
 境内から掛け声が聞こえてきたため、奥に進んでみると、ビックリ!大勢の人々がラジオ体操をしているではありませんか。その数、およそ70人。みなさん、軽やかに体を動かしています。中心にいた男性に話を聞くと、「足かけ26年、毎日やってます」とのこと。夏休みには子どもたちも加わり、200人以上になるのだとか。体操をするみなさんの表情は、とてもほがらか。きっと毎朝顔を合わせるのが楽しみで、26年も続けてこれたのでしょうね。

街の「倉庫蔵」

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 日が高くなり、人通りが増えた蔵通りを歩いていると、一軒の店蔵(みせぐら)の屋根に見慣れない装飾を発見。まつげのようなシルエットが空に伸びています。軒下にいる女性は、火災よけではないかと話してくれました。川越は過去に何度も大火に見舞われた歴史があり、二度と火災が起こらないようにと、厄よけの瓦をあしらったと考えられているそうです。
 この蔵の奥におもしろい蔵があるというので、見せてもらうことに。中に入ると、日用品がずらり!ここは倉庫用の蔵で、持ち主の一家は片付けをしながらこの蔵で過ごすのが、とても楽しいそうです。江戸から昭和にかけて先祖が使っていた品々には、今では珍しいものがたくさんあるのだとか。子どもたちが遊んだ双六(すごろく)や、呉服屋さん時代の型紙、家族そろって東京オリンピックを見たテレビなど…。持ち主の女性は、「金目のものはなにもないんですけど」と笑いながらも、「昔のものを通して先祖とつながった気分になれます」と、なんだかうれしそう。川越は、歴史を身近に感じることのできる街なんですね。

街の「鐘つき守」

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 街のランドマーク“時の鐘”にやってきました。時の鐘は毎日、午前6時・正午・午後3時・午後6時の計4回、街に時刻を知らせています。鐘つき堂の足元に目をやると、歴史のありそうなたたずまいのお店を発見。中をのぞいてみると、ご主人がおいしそうなお団子を焼いていました。大きなのれんには“創業文久元年”と書かれています。こちらのお団子屋さん、5代前の先祖が時の鐘の“鐘つき守”をしていたのだとか。
 ご主人が先祖から受け継がれた懐中時計を見せてくれました。100年以上前のものにも関わらず、今もしっかりと時を刻んでいます。現在の時の鐘は自動制御ですが、街の人々が鐘の音で時刻を知る習慣は昔から変わっていません。ご主人も、「江戸時代から変わらない鐘の音を今も聞けているというのは、幸せなことですね」と、しみじみつぶやいていました。

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