これまでの街歩き

ベルサイユ/ フランス

2013年11月12日(火) 初回放送

語り:桂文珍

撮影時期:2013年8月

街の「物知りおじさん」

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 市場帰りに路地でひと休みしているおじさんに遭遇。興味深いお話を聞かせてくれました。
 17世紀に造られたベルサイユの家々の外壁に施されたレンガは、ピンクの色をつけた石こうで造られた“ニセモノ”だというのだからビックリ。よく見ると、窓も壁に描かれた絵だったのです。どれもこれも近くを歩いているだけではまるで気がつかないほど本物そっくりに描かれています。その理由は、ルイ14世の「建物の外観を統一しなさい」という命令。当時、資材のすべてが宮殿の建設に投入されてしまったため、街づくりはニセモノで対応するしかなかったのだそう。いかに王様の力が絶大だったのか、当時の様子をうかがい知ることのできるお話でした。

街の「人形劇場をつくる職人」

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 ルイ15世の時代に造られたサン・ルイ地区を散策していると、仲良く立ち話をしている人たちに出会いました。働き者のオトマットの職人にコーヒーを差し入れに来て、話し込んでいたんだそう。
 オトマットとは小さな人形劇場のことで、作品を一つ見せてもらいました。物語はルイ15世が愛人ポンパドール夫人の浮気現場に踏み込むというかなりジョークが効いたもの。芝居の内容はもちろん、舞台から人形の動きまで、すべてを一人で作り上げるんだそうです。オトマットはその昔、王様に献上された玩具だったんですって。

街の「ろう獄の飲み屋さん」

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 午後8時。建物の一階が通り抜けられる変わった路地へ迷い込みました。屋根の下はどうやらお店のようです。気になってのぞいてみると、ずーっと奥の方まで、暗い通路が延びているではありませんか。お店なのか通路なのか…と思案していると、中にいたお客さんが「ここは地元の人たちが集う飲み屋で、昔はろう獄だったんだ」と教えてくれました。ルイ15世が造ったもので、フランス革命の時には王の愛人も捕えられていた場所だったのだといいます。「手を加えずに維持していく義務がある」のだとか。歴史ある場所が今も暮らしの中で使われているからこそ、守り続ける意識も芽生えるということなんですね。

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