これまでの街歩き

ブカレスト/ ルーマニア

2014年5月20日(火) 初回放送

語り:柄本明

撮影時期:2014年3月

街の「市場の人々」

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 野菜や日用品が立ち売りされている路地に迷い込みました。声をかけると、自分の菜園や畑で採れたものを売っているとか。この路地は市場に近く、その市場に来る買い物客を目あてに、立ち売りをしているんです。ある男性は朝の7時から、ヒモにつるしたニンニクをずっと手に持って商売しています。
 市場は広々とした屋内市場。農業国ルーマニアらしい新鮮な野菜が並び、活発な取引が行われています。そこで出会った元気なお母さんに、ルーマニアのことわざを教えてもらいました。「働く者は食べていける。働かなければ見てるだけ。」 そのことわざ通り、市場の人たちは、気持ちのいいほど働き者でした。

街の「最初の王宮」

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 旧市街にある、ブカレストで最初の王宮跡。1459年にヴラド・ツェペシュ公が築きました。彼はオスマントルコ帝国と戦った国の英雄。でも捕虜を生きたまま串刺しにするなど残酷な面もあり、“串刺し公”の異名で当時のヨーロッパにその名を広めました。ルーマニアに攻め入るオスマン帝国軍は味方が串刺しに放置されている状態を見て、戦意を喪失したとか。
 このヴラド・ツェペシュ公、実は吸血鬼ドラキュラのモデル。イギリスの作家が、ヴラド・ツェペシュ公の人柄やルーマニアの深い森のイメージを使い、希代の怪物ドラキュラ伯爵を創作したんです。
 実在のヴラド・ツェペシュは国を守り、ブカレストを繁栄に導いた、人気の高い国民的英雄です。

街の「修復される家屋」

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 10人ほどの若い建築家の卵たちが落書きだらけの旧家を補修していました。聞くと、共産主義時代に、一昔前のおしゃれな建物が、ブルジョア的だと政府が押収。その間、家は手入れされなく、荒れ放題。崩れて廃墟のような家屋も街中には多数。彼らは、それらを仲間の力で修復しようとしているのです。本来の家屋の所有者と、修復する代わりに、作業期間は無料でその建物を使用できるという契約を結んで。こうした活動を、いつかは街全体に広げたいと彼らは願っています。目指すのは20世紀初頭に小パリと呼ばれたような素敵な街並み。そのために彼らは屋根裏で暮らし、アルバイトで得た賃金を修繕費用にあて、がんばっています。

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