これまでの街歩き

タルサ/ アメリカ

2007年5月15日(火) 初回放送

語り:矢崎 滋

撮影時期:2007年4月

世界地図

地図

場所

アメリカ合衆国のほぼ真ん中に位置するオクラホマ州・第2の都市“タルサ”。州都・オクラホマシティーから北東約170キロの場所にあります。人口およそ38万、面積は約500平方km。ダウンタウンには高層ビルが建ち並び、その周囲には、緑豊かな住宅街が広がっています。1830年代、アメリカ連邦政府による強制移住法の設置により、先住民たちがタルサへ移り住んだことが街の始まり。その時、故郷を思う先住民たちが、先祖の灰をまいて、新しい未開の地を古く慣れ親しんだ土地に変えたことから“タルサ”(アメリカ先住民の言葉で「古い街」)の名がついたそうです。その後、20世紀前半に石油が見つかったことにより、“世界の石油産業の首都”として、アメリカ経済を支える重要な街となりました。現在は宇宙・航空機産業やIT産業などに力を入れています。

Information

タルサのオイルマン

20世紀前半、タルサは世界の石油産業の中心地でした。そのきっかけを作ったのがオイルマンたち。まず、1901年、ドクター・フレッドが、タルサに石油が埋蔵していることを発見。その後、次々と油田が発見され、1920年代には、400を数える石油会社が集まり、タルサは「石油ビジネスの首都」と呼ばれるほど繁栄しました。
さらにアイオワ州からやってきた農家の五男、ウェイト・フィリップは、開通したばかりのルート66で、新しいガソリンの走行テストを行い、時速66マイル(時速約100キロ)という当時としては驚異的な記録を出しました。
高速走行を可能にするガソリンは、たちまち大ヒット。当時のフィリップの豪邸は、今は美術館として公開され、一般人も入ることができるので一度足を運んでみては?

トルネードのシェルター

オクラホマ州は、春から夏にかけて、いくつものトルネード(竜巻)に襲われる、トルネードの多発地帯。トルネードは、巨大な積乱雲から生まれます。タルサが位置するアメリカ中部は、メキシコ湾からの温かい風と、ロッキー山脈からの冷たい風がぶつかりあい、そうした積乱雲が発生しやすいのです。
そのため、この地域の家庭では、いざという時に備えて地下に避難用のシェルターを埋めています。ガレージの地下に埋め、上に車を停めておけば、万が一、家屋が崩れ落ちてきても、車がシェルターの天井を守ってくれます。シェルターが無い場所にいる場合は窓のない所に避難することが大切。竜巻のときは色々なものが飛んでくるので、窓の近くは最も危険だからです。

希望の道

ダウンタウンから、東へ9マイルのところにある自動車部品販売店では、1950年代にルート66の道沿いにあった食堂を再現しています。その名も「R66ダイナー」。ナンバープレートや古いレジなど、ルート66を愛する人々が持ちよったものであふれています。かつて、オクラホマ州はすさまじい砂嵐にたびたび襲われ、農民たちは新たな土地を求め、ルート66を使いカリフォルニアへと向かいました。ルート66は人々を救った希望の道だったのです。文豪スタインベックも著書『怒りの葡萄』の中で、“ルート66は、マザー・ロード、母なる道”という言葉を残しています。人々の希望を乗せて走る、母なる道。
そんな道、他にないですよね?

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