これまでの街歩き

トゥールーズ/ フランス

2007年8月7日(火) 初回放送

語り:田畑智子

撮影時期:2007年5月

世界地図

地図

場所

フランス南西部の中心都市、トゥールーズ。
街の東には世界遺産のミディ運河が流れています。サンティアゴ・デ・コンポステラへの巡礼路はこのミディ運河に沿って街に入り、トゥールーズ旧市街を抜け、西のガロンヌ川を渡って続きます。
トゥールーズの歴史は古く、その起源は古代ローマ時代にさかのぼります。当時は軍事と交易の、中世には商業の中心地として栄えました。第一次世界大戦後に商業航空輸送がトゥールーズで始まり、現在でもエアバス本社とその最終組み立て工場が置かれているためヨーロッパの航空産業の拠点となっています。
また1229年創設のトゥールーズ大学などがあり、学問の街としても知られています。

Information

エアバス工場

トゥールーズには、大型旅客機で有名なエアバス社の本社と最終組み立て工場があります。
この工場で組み立てられている最新鋭のA380は、旅客機としては史上最大、世界最大。全て二階建てで、840人もの乗客を収容することができます。この飛行機を作るために、世界中から1万6千人もの従業員が働きに来ています。
かつて巡礼の人たちが何十万もやってきたトゥールーズは、いまこの飛行機のために世界中から人々がやってくる街となったのです。フランスの若者はすぐ都会へ出たがりますが、トゥールーズは、まだまだ大丈夫。
なにせこの街から世界中に最先端の飛行機が飛び立っていくのですから。

レンガ工場

なぜトゥールーズがばら色の街になったか、それは独特のレンガの色から来ています。
この地方はもともと建築用の石が少なく、かわりに粘土からレンガを作りました。粘土の元々の色はパッとしない茶褐色ですが、これを掘りだして他の粘土と混ぜ、2年ほど寝かせると、土の粘り気や固さが増して、質のよいレンガができるのです。2年たったら工場に移し、水を加えて形を整え、それから適当な大きさに切り分けます。さらに1週間ほど乾燥させて、完全に水気を抜き、いよいよ窯で焼きます。昔は石炭の窯で焼いていましたが、最近はもっぱらガスの窯を使います。1050度の高熱で丸一日焼くと、美しいレンガのできあがり。
こうして「ばら色の街」ができたというわけです。

ライトアップ・トゥールーズ

トゥールーズは2005年、フランスで最も夜の美しい街に選ばれました。ガロンヌ川にかかる全ての橋、美術館や水力発電所までが美しくライトアップされて、ばら色の昼間とはまた違った、素敵な夜景が現れます。
トゥールーズをはさむ2つの水路、ミディ運河とガロンヌ川が出会う「双子橋」もライトアップの名所です。右のトンネルからは大西洋の水が流れ込み、真ん中には水の女神を描いたレリーフ、そして左のトンネルは運河をつたって地中海へとつながっています。
このライトアップで最も美しく彩られるのは、ポン・ヌフです。
サンティアゴ・デ・コンポステラへ向かう巡礼者たちは、この橋を渡って次の街へと旅立っていくのです。

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