これまでの街歩き

ウィーン/ オーストリア

2008年9月25日(木) 初回放送

語り:小倉久寛

撮影時期:2008年7月

世界地図

地図

場所

オーストリアの首都、ウィーンは人口約160万の大都市。ドイツから流れ込むドナウ川沿いに広がる美しい街です。シュテファン大寺院を中心とした旧市街には、かつて中欧を支配したオーストリア帝国の遺産が多く残っています。
ウィーンの繁栄は13世紀、神聖ローマ皇帝に選出されたハプスブルク家のルドルフ一世が、この地に移り住み都としたことが始まりです。その後ハプスブルク家は紆(う)余曲折を経ながらも何代にも渡って繁栄し、20世紀初頭にいたるまで中央ヨーロッパの盟主として君臨し続けました。
また、ウィーンは世界に名だたる音楽家の街。大きな劇場やコンサートホールが街の至るところに見られ、シューベルト、モーツァルト、ベートーベン、ヨハン・シュトラウスなど、ウィーンを舞台にして活躍した音楽家の名前を挙げればきりがありません。かつての皇帝たちも彼らの音楽を好んだ、といわれています。

Information

ウィーンの水道水

良質でおいしいと言われる、ウィーンの水道水。
その秘密は、ウィーン市から南西へ約90kmにある「皇帝の泉」。山で濾過(ろか)された、質の高いわき水が水道の源泉となっているからです。泉はもともと皇帝専用でしたが、19世紀に皇帝フランツ・ヨーゼフ一世が市民に開放しました。その時、泉からウィーンまでの大規模な水道工事が行われたのです。
「皇帝の泉」は水道が完成した1873年以来、一度も枯れることなく、今も一秒間に最高2500リットルの水がわき出ています。水温は一年を通して6度~7度が保たれ、水道管の工夫によって、90km先のウィーンに届いてもその温度はほとんど変わらず、冷たいままです。ウィーンのカフェでは、サービスで必ず一杯の冷たい水がついてきます。これも、安全でおいしいウィーンの水道水のおかげですね。

ホイリゲ

ウィーンの北西に広がる、「ウィーンの森」。この森には、いわゆるワイン酒場「ホイリゲ」があります。
ホイリゲとはウィーン特有の言葉で、「本年度産のワイン」という言葉が短くなったもの。もともとはブドウ農家が、自家製の新酒を飲ませる店として生まれました。ホイリゲの歴史は古く、18世紀に皇帝がブドウ農家に、「年300日以内なら自家製のワインを売り、簡単な食事を出してもよい」と許可したことがきっかけでした。ホイリゲの目印は軒にかかる松の枝。夕方になるとウィーンっ子たちがやってきて、おいしいワインを楽しんでいます。アコーディオンやギター奏者の奏でるウィーン民謡とともに、ホイリゲでは晴れの日も雨の日も、陽気な夜が過ぎていきます。

フィアカー

旧市街に響くひづめの音。旧市街を走る「フィアカー」と呼ばれる馬車です。この馬車に乗ると、御者がウィーンの名所を説明しながらゆっくりと走ってくれます。
御者は約300人。馬車は180台あります。馬車の速度はとてもゆっくり。狭い道では後ろの車は追い抜くことができません。時には馬車の後ろに長い車の行列ができることも。それでもクラクションをならすウィーン市民はほとんどいません。
ちなみに、市民に迷惑がかからないよう、ウィーン市街を走る馬車は一度に58台までと決まっています。観光客専用のイメージの強いフィアカーですが、結婚式や、家族のお祝いでも利用されるそうです。乗り場は全部で5ヵ所。料金は20分のコースで40ユーロ、60分で95ユーロだそうです。

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