これまでの街歩き

ミラノ/ イタリア

2009年5月21日(木) 初回放送

語り:富田靖子

撮影時期:2009年4月

世界地図

地図

場所

ミラノはイタリア北西部、ロンバルディア州の州都で人口は約140万。3世紀末には西ローマ帝国の首都になり、その後ミラノ公国時代、ナポレオン統治の時代を経て、近世はイタリア独立運動の中心都市となりました。
ミラノの中心はドゥオモ(ミラノ大聖堂)広場。広場を囲んで幾重にも環状道路が走っており、街は同心円状に拡張、発展していきました。またゴシック様式やルネサンスなど芸術の都としても栄え、かのレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「最後の晩餐(ばんさん)」もミラノにあります。
現在ではイタリア最大の工業都市としてだけでなく、モードやファッションの流行の発信地として有名です。

Information

サンタ・マリア・プレッソ・サン・サティロ教会

にぎやかな通りに現れるサン・サティロ教会。1486年に完成したこの教会は、ルネサンスを代表する建築家の一人、ブラマンテによって設計されました。
実はこの教会には、あっと驚く仕掛けが施されているのです。入ってまず目が行くのが中央の祭壇です。奥行きのある豪華なアーチが続いているように見えます。しかし実はこの祭壇、奥行きはなんとわずか97cm。ブラマンテが装飾漆喰(しっくい)とアーチを工夫してデザインしたため、正面から見ると実際より数メートルも奥行きがあるように見えるのです。
ブラマンテは初め、この教会を十字架の形に設計しました。中央の祭壇は十字架の上の部分にあたります。ところが、十字架上部の祭壇部分については、すぐ裏に道が通っていたため建築許可が下りず、奥行きがとれなくなりました。
そこでブラマンテは、教会に来た人が本来の設計に見えるよう、遠近法で奥行きを出したのです。この天才的なアイデアは同時代のレオナルド・ダ・ヴィンチにも大きな影響を与えたと言われています。ダ・ヴィンチの代表作の一つ『最後の晩餐(ばんさん)』に遠近法が活用されているのは、ブラマンテの影響ではないかと言う人もいます。

ミラノ風リゾット

23種類ものリゾットを取りそろえている、リゾット専門店。中でも昔から大人気なのがミラノ風リゾットです。なぜ、ミラノ風と呼ばれるのかって?実はある伝説がその誕生に関わっているのです。
時は16世紀。ドゥオモの建設中のことです。ステンドグラスを作る職人の中に、サフランというあだ名の若者がいました。彼はサフランを使ってガラスをキレイな黄色に染めるのが得意だったのです。ある時サフランは、ガラス職人の親方の娘に恋をしました。しかし彼女は、他の男と結婚してしまいます。恋に破れたサフランは、結婚式で花嫁にリゾットを差し出しました。それは、白い米を黄色く染めたリゾットでした。リゾットに自分の名前・サフランを入れることで、若者は秘めた思いを伝えたというわけです。

トラム

ミラノには、電車、地下鉄、バスなど色々な乗り物がありますが、中でも市民に愛されているのが路面電車・トラムです。とても便利で、簡単に利用できます。
乗車券は地下鉄の駅などの券売機や、「T」のマークの付いた酒場、タバコ屋、そして路上の売店でも買えます。一枚1ユーロで、最初に乗ってから75分間は自由に乗り降りができますから、乗ったらまず乗車券を検札機に通して乗車時刻を刻印してください。
トラムは交通手段としてだけではなく、貸し切りにしてパーティーを開くなんてこともできるんです。ちょっと贅沢(ぜいたく)に、街の景色を見ながらワインパーティーなんていかがですか?

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