これまでの街歩き

アマルフィ/ イタリア

2009年6月4日(木) 初回放送

語り:松田洋治

撮影時期:2009年4月

世界地図

地図

場所

イタリア南部、カンパニア州サレルノ県の小都市。ソレント半島南岸に位置し、ナポリから自動車で2時間程度。人口は約5500。街の中心にはアラブ世界の影響が見られる美しいドゥオモ(大聖堂)があり、東西の斜面には住宅があります。
アマルフィが海洋共和国として、地中海貿易で存在感を示し始めたのは9世紀のこと。10~11世紀にはベネチアなど他の海洋共和国に先がけて繁栄の時期を迎えました。イタリアに初めて製紙技術を伝えるなど、アマルフィ商人の活躍はめざましく、ドゥオモ以外にも、アラブ風の蒸し風呂跡など、今も街なかには異文化の痕跡が見られます。その後、ノルマン、フランス、スペインなど外国勢力による支配が続き、さらには津波や地盤沈下なども重なったため、アマルフィはしだいに衰退。近代に入り、その温暖な気候と美しい景観により再び注目を集めるようになるまで歴史の表舞台から姿を消しました。
1997年にソレントからサレルノへ至るアマルフィ海岸が世界遺産に登録されました。現在では周辺のいくつかの街とともにイタリア有数のリゾート地として人気を集めています。

Information

レガッタ

毎年6月に開かれる、レガッタ競技のお祭り。中世に栄えた四つの海洋共和国、アマルフィ、ジェノバ、ピサ、ベネチアが今でも優勝を競い合っています。
これら四都市の中で、最も長い歴史を誇るのがアマルフィです。羅針盤を使った航海術の確立や、今も使われている海洋法規の制定など、輝かしい実績を残しました。アマルフィの繁栄は、かのベネチアをしのぐほどだったのです。そんなアマルフィですが、レガッタではこのところベネチアに苦戦を強いられています。練習はメンバーの仕事の合間を縫って行っていますが、情熱のあるものもいれば、正直なところダイエット目的の人もいるそうです。けれど、優勝をめざす気持ちは本物。ぜひ、アマルフィを応援してくださいね。

リモンチェッロ

アマルフィ名物のお酒、リモンチェッロ。レモン畑のおじさんの息子さんで、20年間リモンチェッロを作り続けているマルコさんにレシピを教えてもらいましょう。
材料・・・レモン(1.5kg)、アルコール(1ℓ)、水(1ℓ)、砂糖(500g)
①レモンの皮をむく。使うのは、皮だけ。薄さが大事です。
②皮をアルコールに漬け込みます。レモンのエッセンスが出やすいように、度数の高いアルコールを使います。今回使ったのはアルコール度数96度。約2日間漬け込みます。
③分量の水と砂糖を混ぜてシロップを作ります。
④皮を漬け込んだアルコールを③で作ったシロップで割ります。
アルコール度数が、35度くらいになるよう調合します。
⑤フィルターでこして瓶に詰めたらできあがり。
味の決め手はやっぱりレモン。おいしいアマルフィのレモンで作れば最高ですね。

アマルフィペーパー

アマルフィは昔から、最高級の紙の産地として有名です。
中世のイタリアで初めて製紙技術が伝わったのは、地中海貿易で名をはせていたアマルフィ。
ここの山には紙づくりに欠かせない清流が流れていて、かつてはたくさんの製紙工場が建ち並んでいました。アマルフィの紙作りは、原料である木綿の繊維をすりつぶすことから始まります。この作業には昔からずっと石臼が使われていて、動力も昔ながらの水車です。
次に水で溶いた繊維を型に流し込んですいていくのですが、この型にも特徴があるのです。アマルフィペーパーには最初から専用の型があります。封筒なら封筒、便箋(びんせん)なら便箋専用の型を使うのです。そのため製品を作るときに切りそろえる必要がなく、紙の端っこはギザギザのまま。これがアマルフィペーパーの特徴のひとつです。最後に透かしなどを、一枚一枚入念にチェックして、世界に誇るアマルフィペーパーが生まれるのです。手間ひまかけたアマルフィペーパーは、長い年月が経っても丈夫でいるので、公文書や高価な本、結婚式の招待状などに使われます。アマルフィの紙に永遠の愛をつづってみるなんてステキじゃないですか?

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