これまでの街歩き

西塘(せいとう)/ 中国

2009年7月30日(木) 初回放送

語り:工藤夕貴

撮影時期:2009年5月

世界地図

地図

場所

中国浙江省の西塘は、上海の南西90kmに位置しています。春秋戦国時代に呉国と越国が戦った場所で、「呉根越角」と呼ばれ、昔から物が豊富なところでした。
旧市街区には、明、清時代の建物が数多く残されていて、最も有名なのは長さが1000mもある屋根つきの長い廊下「煙雨長廊」。古風で純朴な雰囲気があります。西塘は中国語で、「生活着的水郷」といわれるように、歴史があるだけでなく、生活感があふれる水郷なのです。
西塘の人口は約6万5万。年間の観光客数は、海外からが約7万8600人、中国国内からが約15万4400人となっています。

Information

西塘の紹介

西塘の始まりはおよそ2500年前、春秋戦国の時代。当時争っていた呉と越の国境がここにあり、兵隊や物資を運ぶために、水路が作られたといわれています。
その後、水路沿いに街ができ、明の時代には、米などの作物が運ばれ、街は栄えました。水路に沿って商店が建ち並び、多くの人々が買い付けにやってくるようになりました。商店は表が道に、裏が川に面していて、荷物を積んだ船が横付けできるようになっています。また、水路に面した回廊のひさしも遠方からの客人を、雨や日差しから守るために作られました。
現在では船に代わって、陸上交通が発達し、中国でもこのような水郷は年々少なくなっています。
でも、西塘に来ればまさにタイムスリップ!川も橋も建物も、明や清の時代の姿をそのまま残し、当時の様子を味わうことができます。

ボタンの街

西塘は150年の歴史を誇るボタンの街です。ここを流れる川からはボタンの材料となる“からす貝”が大量に獲れたからです。“からす貝”は、まず真珠の養殖に使われ、身は食材となり、最後に貝殻はボタンになります。
ボタンは、昔は全て手作業で、ひとつひとつ作られていました。今は機械化され、街には1000軒以上のボタン工場が建つまでになりました。
中国は世界一のボタン生産国で、年間およそ1100億個を作っていますが、その内、西塘産は650億個。中国のボタンの6割はここ西塘で作られているんです。

黄酒

西塘の特産品のひとつが「黄酒」です。日本では紹興酒と言ったほうがなじみがあるかもしれません。黄酒の中でも、長く寝かせたものは「老酒」と呼ばれます。老酒には20種類のアミノ酸をはじめ、血圧を調整するポリフェノール、胃腸にやさしい乳酸菌などが多く含まれ、からだに良いといわれています。
番組で紹介した老酒は蒸したもち米に、麹(こうじ)や酸味を出すための酒かすを加えて作るのだそうです。しぼったあと最低でも5年間寝かせます。老酒のおいしさの秘密は、陶器でできた「甕(かめ)」です。甕には表面に無数の小さな穴が開いていて、その穴を通った空気が中の酒と反応し、酸化して独特の香ばしい味わいが出るのだそうです。

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