これまでの街歩き

パレルモ/ イタリア

2009年10月22日(木) 初回放送

語り:八嶋智人

撮影時期:2009年8月

世界地図

地図

場所

パレルモは人口およそ70万。イタリア最大の島、シチリア島の州都です。フェニキア人により開拓されたこの土地は、古代よりローマ、アラブ、ノルマン、ギリシャ、スペインとさまざまな勢力の支配を受けてきました。多様な文化の融合した雰囲気は今も残っており、異国情緒あふれる街並みは魅力的です。
パレルモの街には大きな市場が3つあり、日用品や生鮮食品が売られているほか、屋台も見られます。屋台では「パネッレ」と呼ばれるエジプト豆でつくった揚げ物やモツのラードいためのフォカッチャなど、パレルモ独自の食が楽しめます。
また、市内には「プーピ」と呼ばれるユネスコの無形文化遺産に指定されたシチリア伝統の人形劇を上演しているところもあります。

Information

コッポラ帽子

シチリア島といえば、思い浮かぶ帽子がありませんか?そう、コッポラ帽です。コッポラ帽はベレー帽につばがついたもので、20世紀初頭、シチリアの農民たちがかぶり始めた帽子です。しかし1970年代に入り、シチリア島マフィアの象徴として扱われるようになりました。農民たちはかぶらなくなり、コッポラ帽文化は一度衰退していきます。
近年、国と住民が一体となった「マフィア撲滅運動」が功を奏し、コッポラ帽も見直されはじめました。シルクや麻を使った一層おしゃれなデザインや、犬とおそろいのものまであります。シチリア島へ来た時には、おひとついかがですか?

フルッタ・マルトラーナ

パレルモのお菓子屋さんをのぞくと、みずみずしい野菜や果物がディスプレイされています。実はこれ、みんなお菓子。「フルッタ・マルトラーナ」という、800年以上続くシチリアの伝統菓子なのです。13世紀、マルトラーナ修道院の修道女が、照りつける日ざしのせいで、庭の緑が少ないことに悩んでいました。そこで、特産品のアーモンドを使って野菜や果物のお菓子を作り、来訪者をもてなそうと思いついたのです。アーモンドの粉を練り、砂糖と水を加えた生地で形作っていきます。手と串で丁寧に形作ったあとは色つけ。熟して黒くなった部分まで表現しています。
パレルモのカフェで、エスプレッソと野菜をかじっている人がいても、びっくりしないでくださいね!

マッシモ劇場

パリオペラ座、ウィーン国立歌劇場に並ぶ、ヨーロッパ最大級のオペラハウスがパレルモにあることをご存じですか?それが、マッシモ劇場。こけら落としは1897年です。総席数は3200人。金ぱくをぜいたくに使った劇場内は、ベネチアングラスの電飾で彩られています。この豪華けんらんな内装は、シチリア人の反骨精神の象徴だと言われています。イタリア本島には負けまいと、地元貴族が大勢パトロンになったそうです。
また、劇場内には「秘密の部屋」と呼ばれる場所があります。ここは、オペラ鑑賞に飽きた人が歓談する部屋。部屋全体で声が反響するように設計されているため小さな声でしか話せません。劇の邪魔はせず、ひそひそ話を楽しめるのです。パレルモへ来たら、ぜひのぞいてみてくださいね。

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