これまでの街歩き

ナザレ/ ポルトガル

2010年5月30日(日) 初回放送

語り:八嶋智人

撮影時期:2010年3月

世界地図

地図

場所

リスボンから車で約2時間、ナザレは大西洋に面した漁師町です。人口およそ1万5000。紀元前、古代フェニキア人によって開拓されたと言われています。
街は、浜辺に沿って広がる「プライア」、海抜110mに位置する「シティオ」、内陸の丘の上にある「ペデルネイラ」の3地区にわかれます。シティオとプライアはケーブルカーで結ばれています。17世紀まで海賊の攻撃を避けるためにシティオとペデルネイラに住んでいた住民は、18世紀に入り、海が後退したため居住区を浜辺のプライアへと移したのです。
ナザレという名は、かつてこの街の一人の聖職者が、パレスチナ地方のナザレからマリア像を持ち帰ったことに由来すると言われています。
また、この街は1954年、フランス映画「過去を持つ愛情」の中で、ファドの女王アマリア・ロドリゲスが歌った名曲「暗いはしけ」が流れる背景の映像となったことで、一躍有名になりました。

Information

男性の伝統衣装

ナザレの伝統衣装は女性だけではありません。男性にもちゃんとあります!チェック柄のズボンとシャツ、細長い帽子がナザレ漁師の伝統衣装です。
実は長い帽子はポケット代わり。波をかぶって服はずぶぬれになってしまうので、たばこやお金を帽子の中に入れていました。また、スコットランドから伝わったチェック柄のズボンは、すそをひもで縛ってあります。そのひもをほどいてまくしあげれば、半ズボンに早変わり。さらに幾重にも巻かれた腰ひもは、外せば海へ投げ出された仲間を助ける救命ロープに。実に合理的な伝統衣装なんです。
さらに漁船も特徴的です。紀元前にフェニキア人によってもたらされた「アルティシャベガ」。大西洋の荒波を乗り越えるために、へさきは大胆に反り返らせてあります。ナザレは、古代からの漁師町の伝統を今も残した街なんです。

オビドスのポザーダ

ポルトガルには、城や修道院など歴史的建造物を開放して泊まれるようにした国営ホテル「ポザーダ」があります。全国でおよそ50か所。その第1号として1950年に認定されたのが、ナザレから南へ約45kmにある街、オビドスの宮殿です。客室はわずか9つ。人気の高いスウィートルームは、かつて王妃の宝物をしまう部屋でした。王妃の気分を味わえるかも!
オビドスへ来たら、ぜひ「ジンジャ」も味わってみてください。ジンジャはサクランボのリキュール。チョコレートでできたカップに注いで飲みます。カップをかじったあとの一杯は、さらに口当たりがまろやかになるんですよ。

ポルトガルギター

ポルトガルの酒場などで歌われる「ファド」をご存じですか?恋愛、故郷への想い、仕事の愚痴など、心の底からあふれる感情を歌いあげた民族音楽です。ポルトガルでははるか昔から、ファドを歌うことで人生の哀愁を表現してきました。
このファドに彩りを添えるのが、ポルトガルギターです。最大の特徴は12本の弦。2本ひと組の弦が6つ並んだ「複弦」であること。これにより、音に深みと広がりを出すことができるのです。ポルトガルにある多くのファド・レストランやライブハウスで、哀愁を帯びたギターの音色を楽しむことができます。

※NHKサイトを離れます
ページトップ