これまでの街歩き

ビルバオ旧市街で出会うバスク文化/ スペイン

2015年9月1日(火) 初回放送

語り:中嶋朋子

撮影時期:2015年6月

世界地図

地図

場所

 スペインのビルバオは、イベリア半島の北部。大西洋ビスケー湾から内陸へおよそ15キロの位置にあります。ピレネー山脈を挟んでフランス南西部にまで広がるバスク地方随一の湾岸都市です。
 郊外にある世界遺産の「ビスカヤ橋」は必見。19世紀に開通した世界初の運搬橋で、船の通行を妨げないよう、人や車をゴンドラで運ぶユニークな仕組みです。
 ビルバオ川沿いに広がる街は、西側の新市街と東側の旧市街に分かれています。新市街は、かつて街が鉄鋼業でにぎわっていた時代の工場跡地。世界的に有名なグッゲンハイム美術館をはじめ、モダンアートや建築による街の再開発を90年代後半から推し進める注目のエリアです。
 一方の旧市街は、14世紀から開拓が始まった街並み。幾重にも交差する細い路地には、昔ながらの商店と住居が混在しています。

Information

バスク地方の歴史

 人口220万のバスク地方。古代よりこの地に暮らす民族は特に「バスク人」と呼ばれ、独自のバスク語を話してきました。さらに「石の持ち上げ競争」や「森の丸太を早く切る競争」など、スペインとは違う独特の文化も育んできました。
 1936年、バスク地方は長年の悲願だった自治権をスペイン政府より獲得。ところがその翌年、時のスペイン政府の差し金で、ナチスドイツがゲルニカの街を無差別爆撃。2000人以上の犠牲者を出しました。その後も弾圧が続いたバスク地方は、35年に渡ってバスク語は禁じられ、伝統競技を楽しむこともできませんでした。
 ようやく自治権を取り戻したのは1979年のこと。バスク地方では、長く禁止されてきた自分たちの文化を、もう一度取り戻すことに努めています。

食べ歩きグルメ

街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!

 美食が多いことでも知られるバスク地方。今回、手軽に食べられるグルメを紹介してくれるのは、地元OLのアレハンドル・ガルシア・デ・ミゲルさん。「絶対にはずさない!」と豪語する彼女のおすすめベスト3を紹介します。

タラのピルピル

バスク伝統の保存食「塩ダラ」。中でもおすすめは「タラのピルピル」です。たっぷりのオリーブオイルとニンニク、そこに塩ダラを入れてゆっくり煮ていきます。この時に聞こえる「ピルピル」という音が料理名の由来だとか。さらに土鍋に移してゆっくり動かすと、タラのゼラチン質が染み出してきます。うま味が凝縮された絶品ソースは最高です!

ボージョ・デ・マンテキージャ

ビルバオの伝統の菓子パン。固めのパンが主流のスペインにあって、ビルバオではふわふわのミルクパンが昔からの定番です。そのミルクパンにザラメ糖をまぶしてオーブンへ。砂糖が溶けない絶妙なタイミングで取り出したパンに塗るのは、新鮮なバタークリーム。素朴で優しい風味。子どもから大人まで、小腹がすいた時にはコレです!

タロ・コン・チョリソ

中世から愛される庶民の味。バスクの山間部では、中世からトウモロコシの栽培が盛んでした。そのトウモロコシの粉で作った薄焼きの生地に挟むのは、スペインの国民食「チョリソ」。細かく刻んだ豚肉とスパイスの腸詰です。生地との相性は抜群です!

ちょっとより道

街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!

サン・セバスチャン
語り:えなりかずき

 ビルバオからバスで東へ1時間半。今回のより道は、“ビスケー湾の真珠”と呼ばれる「サン・セバスチャン」。スペイン有数のリゾート地です。そこには、歴代の王室が愛した「ジェットコースター」があるんだそうです。
 ビーチは大勢の人であふれていました。中世の時代、サンティアゴ巡礼の中継地だったサン・セバスチャン。19世紀、時のスペイン王妃「マリア・クリスティーナ」が皮膚病を患った際、医者から海水に入る事をすすめられて選んだのがこの海岸だそうです。
 その王妃を喜ばそうと、海を見下ろす山の上に遊園地ができたのが1912年。中でも目玉が「モンターニャ・スイーザ」というジェットコースターです。なんと木製!なんとシートベルトもなし!聞けばスペイン王室の他にも、世界的ロック歌手のブルース・スプリングスティーンや、サッカーのラウル選手も乗っているんだそうです。
 どれくらいスリル満点か?! ぜひご自身で体験してみてください。

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