これまでの街歩き

素朴な幸せ
サンホセ/ コスタリカ

2017年11月28日(火) 初回放送

語り:田畑智子

撮影時期:2017年9月

世界地図

地図

場所

 エコツアーが盛んなコスタリカの首都サンホセは、年間を通して海外から大勢の観光客が訪れます。街の中心部は東西に長く、東側は住宅地や官庁街、西側には市場や商店街が広がり、中央に歩行者天国のメインストリートが延びています。通りは碁盤の目のように区切られていて、迷うことなく行きたい場所に行くことができます。
 街の歴史は18世紀、スペイン人の入植から始まり、コーヒーやタバコ、バナナの取引で飛躍的に発展。1823年に当時の首都カルタゴと政治的に対立し、戦闘の末、勝利して新たな首都となりました。現在は、国民の約半数がサンホセとその近郊に住んでいます。近年はニカラグアやコロンビアからの移民が増え、欧米からは老後を過ごすために移住する人も多くなっています。農業と観光のほか、IT産業も発展し、新しい時代を迎えつつあります。

Information

世界一幸せな国の首都の秘密

 コスタリカはいくつかの国際的な統計で、“世界一幸せな国”に選ばれています。
 その理由の1つは、たくさんの火山に育まれた豊な土壌の恵みを受けて、パイナップルやオレンジなどのフルーツ、そして極上のコーヒー豆が、年中、豊富に栽培できるから。有機栽培のコーヒー豆は、欧米を中心に人気を集めています。
 2つ目の理由は、平和主義を貫く国だから。1948年に不正選挙を発端に内戦が勃発。勝利した反政府組織のリーダー、ホセ・フィゲーレスは、「兵士の数だけ教師を」を合言葉に、軍隊の廃止を宣言。翌1949年、憲法に軍隊の廃止が明記されて以来、非武装中立を貫いています。軍事費が必要でない分、教育に国家予算を費やしています。それが、コスタリカの人々の誇りでもあるのです。

食べ歩きグルメ

街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!

 案内してくれるのは、日本語弁論大会で2位になった経験がある大学生のジョセリンさん。繊維質やビタミンが多く、美容効果もある、さまざまな種類のバナナを使った料理を紹介します。

カサード

どこの食堂にもある代表的な定食メニューです。豆の煮込み、肉料理、サラダにごはん、そして必ずついているのがバナナの砂糖煮。ここで使うのは、たっぷり熟したプラタノ。2~3分揚げたらクローブ、シナモン、オレンジピールを漬け込んだシロップに絡めるだけ。プラタノに含まれるビタミンには、美肌効果もあるって言うから、太ることなんて気にしていられません。

オジャ・デ・カルネ

にんにくの効いた牛肉のスープに、カボチャ、トウモロコシ、ニンジン、イモ類などの根菜、さらに、調理用のバナナ「プラタノ」を入れて、じっくり煮込みます。「プラタノ」は熟す前のものなので、糖分も少なく、少し固め。バナナは甘くなく、優しい味わい。「おじや」の語源になったとも言われています。

タマル

トウモロコシの粉で作った生地に、ミキサーにかけたジャガイモ、ニンニク、ピーマンを混ぜて、ハッカとレモンで味付けします。そこに、豚肉、コメ、ジャガイモ、トマト、玉ねぎ、ミントなどを載せて、バナナの葉で包み、3時間ゆでれば、できあがり。バナナの葉の風味がほんのり。コーヒーと良く合います。

ちょっとより道

街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!

伝統の牛車 カレータの故郷 サルチー村
語り:池田鉄洋

 サンホセから車で1時間ほどの山あいにあるサルチー村では、コスタリカの伝統の牛車「カレータ」が今も造り続けられています。カレータは農作物や建材を運ぶために使われる木製の荷車ですが、カラフルな花柄模様が描かれているのが特徴です。
 村へ向かう途中、カレータを2頭の牛に引かせているコーヒー農家のおじいさんに遭遇。鮮やかな朱色のカレータにほどこされた美しい伝統模様。見ているだけで農作業が楽しくなりそう!村に到着すると、ガレージの屋根や店壁など、あちこちにカレータの伝統模様が描かれています。「カレータの故郷であることを誇りに思っているからさ」と、肉屋のおじさんが教えてくれました。
 カレータ工房を訪ねると、ご主人が車軸を作っている真っただ中。絵付け専門の職人さんが100年前から伝わる花柄模様を描く様子などを見学させてもらいました。工房は、ご主人の父親が5人兄弟と共に立ち上げたのだそう。子供用カレータで遊んでいた お孫さんに将来の夢を尋ねると・・・「宇宙飛行士」。そなん お孫さんを笑顔で見守るご主人の表情が印象的でした。

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