これまでの街歩き

ハンブルク/ ドイツ

2009年5月28日(木) 初回放送

語り:矢崎 滋

撮影時期:2009年4月

街の「教会」

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ハンブルク港の桟橋から少し行くと、運河沿いに小さな船が係留してあります。その中に、ちょっと大きな屋形船のような船がとまっていました。屋根には十字架と鐘。実はこの船、正真正銘の教会で、ハンブルク港にやってきた船員や港で働く人たちのためにあるんだとか。
教会内部には、港や船をイメージしたものがいっぱいです。例えば、祭壇の脇にある「係留柱」(ロープを巻きつける柱)は、牧師さんが座るイス。しょく台は脚がスクリューでできていて、十字架はイカリをモチーフにしています。
この教会では、毎週小さなボートに乗って港に停泊する外国人のために、お菓子や新聞を持って訪問しています。ただ話をするだけでも、外国の船員さんからはとても感謝されるんだとか。船乗りたちの心のよりどころです。船の教会は、ドイツで唯一です。

街の「コーヒー屋」

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港から北へおよそ5km。閑静な住宅街を通るエッペンドルファ通りに、昔ながらの製法でコーヒーを焙煎するお店があります。このお店が扱うコーヒーはなんと110種類。世界中から生豆で仕入れ、お店でローストするのです。ローストはまさに職人芸。絶妙のタイミングでコーヒーの豊かな香りを引き出します。
創業85年のこのお店のご主人は、誰よりもコーヒーを愛するハンブルクっ子。おじいさんの代からずっとコーヒーに囲まれて育ってきました。
実はハンブルクは、ヨーロッパ最大のコーヒー集積地。かつてはドイツの植民地だった東アフリカや南米から生豆が集まり、ハンブルクで焙煎されてヨーロッパ中に出荷されていったのです。ハンブルクは、ヨーロッパのコーヒーの味を決めていたと言っても言い過ぎではないのです。

街の「ザンクト・パウリ地区」

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ハンブルクの旧市街の西側、エルベ川沿いの港湾地区の一画をザンクト・パウリといいます。ザンクト・パウリは、昔から船乗りが住んでいるハンブルクでも人気の高い特別な地域。そしてある事件がきっかけで広く知られるようになりました。
1980年代、再開発計画が持ち上がり、多くの建物が取り壊される予定でした。しかし住民は、立ち退きを迫る政府に反対して、海賊の象徴であるドクロの旗印の下で建物に立てこもり、強制退去を拒否、地域を自らの手で守ったのでした。ドクロのマークは、地元のサッカーチームFCザンクト・パウリのマークとして今に引き継がれ、ファンの団結を深めています。
ザンクト・パウリの南部には、レーパーバーンというヨーロッパ最大級の歓楽街があり、独特の雰囲気をかもし出しています。

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