これまでの街歩き

ロマンチック街道の都
アウクスブルク/ ドイツ

2016年7月5日(火) 初回放送

語り:工藤夕貴

撮影時期:2016年4月

街の「商人に愛を解く天使」

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 旧市街の中心を貫くようにつくられたメインストリートを歩いていくと、ちょっと不思議な格好をした銅像が立つ噴水を発見。裸の男性らしき2人が見つめ合っているではありませんか。
 気になって近づいてみると、噴水のそばに女性たちが集まって何やら話している様子。どうやら観光案内の最中のよう。声を掛けてみると、ガイドさんが「この銅像は商人の神様と愛の天使」なのだと教えてくれました。よく見てみると、裸で立つ男性の足元に羽を付けた天使がひざまずいています。天使は旅に出ようとする商人の靴ひもをゆっくりと結びながら「商売は急いではいけない、ゆっくりと愛を持ってやりなさい」と諭している姿なんだとか。
 中世、商人の活躍によって繁栄を遂げてきたアウクスブルクならではの銅像で、商人たちに教えを伝え続けるものなのだそうです。

街の「天使の工房で出会った職人さん」

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 路地を歩いていると、不思議なレリーフが刻まれた大きな木の扉を閉めている男性と遭遇。聞けば17世紀、ここに馬蹄(ばてい)の鍛冶屋さんが暮らしていたのだと教えてくれました。今は天使をつくる工房があると聞き、ちょっと中を拝見させていただくことに。
 工房にお邪魔してビックリ!そこら中に天使が飛んでいるではありませんか。「子どもの頃から天使が好きで、マジパンで作っては食べていたから形が残る職人になりたかったんだよ」と満面の笑顔。
 今日は仲間が集まっているんだと誘われて工房の奥に行ってみると、朝からビールを飲みながら談笑している男性たちが…皆さん職人さんたちなんだそう。水を扱う職人や屋根をつくる職人さんだと教えてくれました。商人の街として発展してきたアウクスブルクには、商品をつくる職人が数多く育ったんだとか。その歴史が続いているのだと聞かせてくれました。

街の「水力発電所」

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 アウクスブルクは運河の街としても知られているところ。路地のあちらこちらに水路が巡り、すずやかな街歩きを楽しむことができるんです。あふれそうなほど豊かな水量が流れる水路沿いの路地を散策していると、小さな小屋のような建物を見つけました。
 歩いていくと、男性がお掃除をしているようです。声を掛けてみると「街の小さな発電所なんだよ」という答え。アウクスブルクにはこうした場所がいくつかあるんだそうで、自分たちの電気を発電して街にも売っているんだと教えてくれました。
 街に流れる水は2000メートルの山から流れ込んでくる雪解け水なんだとか。定期的に水門を開けて水を流すのだといいながら門が開くと…声も聞こえないほどの大音量。驚いていると「聞きなれた水の音は静かなもので、地元の人たちにとっては心地いい音なのさ」と笑顔。道理で近くではアツアツカップルが愛をささやき合っていました。

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