これまでの街歩き

ポントレーモリ/ イタリア

2008年2月19日(火) 初回放送

語り:永作博美

撮影時期:2008年1月

世界地図

地図

場所

ポントレーモリは、フィレンツェやピサで有名なトスカーナ州の最北端に位置し、イタリアを南北に縦断するアペニン山脈の北の端にあります。ミラノやトリノからも近く、人口は8千人あまりで、山あいにあることから林業やキノコ栽培、養蜂などが盛んです。アペニン山脈から流れる清流マグラ川とヴェルデ川に挟まれた中世の面影を残す旧市街を持ち、古くローマ時代からの主要道路であるエミリア街道と海岸の港町リボルノを結ぶ山越えの重要ルートとして、ローマ時代より栄えました。
現在は、本の街として知られ、夏に行われる本屋さんが選ぶ文学賞「バンカレッラ賞」の開催地として世界中の多くの読書家から知られる街となっています。

Information

火祭り

ポントレーモリでは1月に、二つの大きな火祭りが開催されます。
一つは聖ニッコロ教会の信者たちが行うもの、そしてもう一つは聖ジミニャーノ教会の信者たちが行うものです。二つの火祭りは、どちらも山で集めてきた薪(まき)や柴(しば)を10メートル以上の高さにうず高く積み上げて、その山に松明で一気に火をつけ、盛大な炎を楽しむというもの。
二つの教会はその燃え具合や炎の大きさを競い合い、それぞれマグラ川とヴェルデ川に分かれて祭りを行います。お互いにけん制しながら、点火までの準備の間は、敵の信者が故意に火をつけようとしたり作業の妨害をするために、夜通し薪の山の前で警戒するなど、祭りの日が近づくにつれて徐々に街中がヒートアップしてきます。冬のポントレーモリ最大のイベントです。

本の街

ポントレーモリは、実は本の街。
15世紀にバチカンに図書館を開いたニッコロ5世の出身地でもあるということから、もともと本に対する関心が高く、18世紀には本を街の広場などで売る移動本屋が数多く現れます。
そして19世紀になると、ポントレーモリの移動本屋は、ミラノやベネツィア、そしてヨーロッパ各地、さらにアメリカにまでその販売網を広げ、各地の書店の原型をなしていきました。
その後もポントレーモリの書店は、本を愛するあまり、世界中の文学作品の中から、その年に最も人気の高い優れた書物に贈る「バンカレッラ賞」という文学賞をつくり、1953年からずっと表彰し続けています。
ちなみに第一回バンカレッラ賞は、アーネスト・ヘミングウェイの「老人と海」です。ヘミングウェイはバンカレッラ賞受賞後にノーベル文学賞を受賞します。ポントレーモリの人たちにとって、ノーベル賞よりも先に表彰したということはちょっとした自慢話となっています。

イタリア最古の生パスタ

パスタには色々な種類がありますが、乾燥したものを茹でて食べる乾燥パスタのほかに、生パスタというものがあります。その生パスタの中でも、イタリアで最も古いと言われる幻のパスタが、ポントレーモリ名物、テスタローリ。テスタローリは、楢の木を燃やして熱した鉄鍋に小麦粉を水で溶いた生地をクレープのように薄く延ばして焼き上げたもので、もちもちとした食感と香ばしい木の香りが特徴。これを3分ほどさっとお湯で茹でて、生バジルとチーズ、ニンニクをオリーブオイルで溶いた特製ソースをかけて、パルメジャーノチーズをさらに乗せていただくのです。
ポントレーモリの人にとっては、子供でも知っている定番料理ですが、パスタの本場イタリアでも知るものは少ないという、幻の生パスタ・テスタローリ。その作り方を特別にご紹介します。

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