これまでの街歩き

パリ・バスチーユ地区/ フランス

2010年1月14日(木) 初回放送

語り:矢崎 滋

撮影時期:2009年10月

世界地図

地図

場所

フランス革命始まりの地、バスチーユ広場。1789年、ここにあったろう獄の襲撃をきっかけに、革命は始まりました。その東側がバスチーユ地区。家具を中心とした職人街として知られ、その昔、王室が御用達の家具職人たちを住まわせたことが始まりでした。
また、木材輸送の要として、サン・マルタン運河の存在が街の発展に大いに関係しました。路地の奥には、手作りにこだわる職人の工房が数多く残っており、今でも昔ながらの職人技が受け継がれています。
1989年にはバスチーユ広場の一画にオペラ・バスチーユが建設され、そのモダンなデザインは人々の注目を集めました。現在では、若者も多く集まるにぎやかなエリアとなり、歴史的な街並みは緩やかに変化しています。
新しいものの中でも、古い下町情緒がしっかりと根付いている。それがバスチーユ地区です。

Information

運河クルーズ

セーヌ川とつながり、北へとのびるサン・マルタン運河。映画などにも登場し、現在では運河のクルーズなどで注目を集めています。クルーズの最初の2kmはトンネルです。バスチーユ広場の下をくぐっていきます。
次に見えてくるのが水門。運河は丘を越えて続いています。そのため、水位を調節し、船を運ぶための水門が運河のところどころに設けられています。進行方向の水位の高い方から、閉じた水門の中に水を入れて水位を同じにし、船を進めていきます。(パナマ運河と同じ原理です)
18世紀、運河は産業革命を支える水上交通路として発達しました。貨物輸送の要として、バスチーユ地区をパリ最大の職人街へと発展させるなど、運河と街の関係はとても深いものがあります。
運河から眺めるパリの街並み…ひと味違う風景をぜひ一度ご覧下さい!

フランス最優秀職人

フランス最優秀職人賞(MOF)は、3年に一度、料理や工芸、ガーデニングなど220の職種を対象に、優れた職人に与えられる賞です。
パリを拠点に活躍するパトリック・ロジェさんは、ショコラティエというチョコレートづくりの職人として受賞しました。ノミネートされたショコラティエたちが、3日間で48ものレシピのチョコレートを作り、審査が行われました。カカオと生クリームの絶妙な配合、チョコレートの温度を微妙に調整する技術…、オブジェ作りもあり、創造力や美的センスなども問われます。ロジェさんは、日本のゆずを使用したユニークなチョコなどをつくり、2000年にフランス最優秀職人の名誉に輝きました。フランスでの職人の仕事に対する関心の高さがうかがえる賞だといえます。

オペラの衣装

バスチーユ広場のすぐ前にあるオペラ・バスチーユは、パリ一番のオペラの殿堂です。フランス革命200年を記念して建設され、1990年にこけら落としを迎えました。
設備は現代的ですが、中では、実は19世紀から受け継がれる職人技が生きています。オペラの演目は年に20あまり、必要な衣装は1800着にも及び、劇場の中にある衣装専門の工房では40人の職人たちが全ての衣装を作っています。服作りは染色の段階から始まり、全て手作りで行われます。オペラに登場する衣装の多くは、立体的なラインなどを表現するため、特殊な技術が求められます。また、動きの激しい役者の体にぴったりと合わせて仕上げなければなりません。他にも、細かい刺しゅうなど、オペラの歴史を受け継ぐ職人の腕の見せ所です。

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