これまでの街歩き

イタリアとっておきⅣ
ローマ バチカンから東へ/ イタリア

2011年1月30日(日) 初回放送

語り:永作博美

撮影時期:2010年11月

世界地図

地図

場所

イタリアの中部に位置する首都・ローマは270万人を擁する大都市です。悠久の歴史を刻む「永遠の都」は、紀元前750年ごろに始まる、と言い伝えられています。王政から共和政へ。その後、ローマは大帝国へ発展し、紀元1~2世紀には最盛期を迎えました。しかし、栄華を誇った帝国も徐々に衰退し、紀元4世紀末にはついに東西2つに分裂。ローマを首都とした西ローマ帝国は476年に滅亡し1000年続いた古代ローマは終えんを迎えました。
中世以降は、ルネサンス、バロックなど、芸術の中心的都市として、ミケランジェロやベルニーニといった偉大な芸術家が多く活躍しました。街中には、それぞれの時代を代表する芸術家の建築や彫刻があふれています。街の西側に位置するバチカン市国には、カトリックの中心「サン・ピエトロ寺院」があり、世界中からたくさんの信者が訪れます。また、街全体が美術館にも例えられるローマ歴史地区は、1980年に世界遺産に登録されています。

Information

アッピア街道サイクリング

古代ローマ時代の道で、現存する中でも最も美しく重要な道路が「アッピア街道」です。建設が始まったのは紀元前312年。ローマから、イタリア半島の“かかと”に位置する港町ブリンディシにまでいたる、全長およそ600kmの道路です。ローマ市では、多くの人にアッピア街道を楽しんでもらうため、2000年から自転車の貸し出しを始めました。古代ローマをサイクリングで体感することができるのです。なかには、ちょっとデコボコしていて、走りにくいところも…。そこは、一辺70センチ程度の大きな石が隙間なく敷き詰められ“舗装”された道です。古代ローマ人が悪天候の時でも道路が使えるよう工夫した跡ですね。建設から2300年が経つ今でも道路として機能していて、古代ローマ人の高度な建築技術がうかがえます。
アッピア街道は、ローマ軍が迅速に移動するためにつくられた、今で言うところの高速道路。皇帝や軍隊だけでなく、多くの商人も利用するなど、古代ローマの繁栄に大きな役割を果たしました。

ベルニーニのメッセージ

17世紀、芸術の力でローマを世界屈指の美の都へと変貌させた天才芸術家、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ。バロック美術の巨匠と呼ばれた彼の作品は、ローマの街のいたるところで見ることができます。ナボーナ広場にある「四大河の噴水」、サンタンジェロ橋を飾る天使像、スペイン広場の「バルカッチャの噴水」などなど。
なかでも圧巻なのが、バチカンの表玄関、「サン・ピエトロ広場」です。実は、ベルニーニはこの広場に“あるメッセージ”を込めたのだとか。そのメッセージのカギは石柱。広場の周りに4重に並べられた計372本の石柱は、内側から見ると隙間なく見え、まるで広場を囲む壁のようです。壁のような石柱が外界の景色を閉ざし、訪れた信者たちを守る構造になっているのです。
また、広場のある1点に立つと、4重の柱が重なり、その隙間から外界の景色を見通すことができます。広場を「世界中にいる信者たちにも救いをもたらす場であるべき」と、考えたベルニーニ。“閉ざされた空間”と“開かれた空間”を同時に表現しました。作品自体の完成度、美しさもさることながら、自らのメッセージを巧みに伝えていったんですね。

猫コロニー

ローマの街のほぼ中心に位置するローマ最古の寺院跡「トッレ・アルジェンティーナ」。ここにはたくさんの猫ちゃんたちが暮らしています。なんとこの遺跡は“猫の保護区”として利用されているのです。
実は、ローマには多くの野良猫がいるという悲しい現実があります。そこで、立ち上がったのがローマ市とボランティア。2005年に、野良猫に関する法律を整備。市内4か所の遺跡で猫コロニーをつくり野良猫を保護しています。エサの提供やワクチン接種、飼い主探しなど、野良猫を万全の体制でケアしているのです。ボランティアや飼い主になってくれた人には市が「猫カード」を配布。そのカードを使えば、キャットフードを10%引きで買うことができるんです。市と住民が一体となって猫ちゃんたちを保護しています。

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