2014年5月27日(火) 初回放送
語り:中村梅雀
撮影時期:2014年3月
フランス南西部、アキテーヌ地方の中心都市、ボルドー。人口約24万。ローマ時代から川沿いの交易地として栄え、18世紀にはワイン貿易で黄金時代を迎え一大商業都市として栄華をきわめます。この時代に「プチ・パリ」と呼ばれた美しい街並みが築かれました。
ところが19世紀後半、ワインの港が他の場所に変わり衰退していきます。その後、21世紀初頭に再開発が始まり、再び美しさを取り戻した街は、2007年に世界遺産に登録されました。登録範囲は、ボルドー市の半分にあたる1,810ヘクタール。都市部の世界遺産として最も広い面積を誇ります。
ワインの故郷として世界中にその名が知られるボルドー。ネゴシアンとはワインをブレンドし、世界のマーケットとの交渉を一手に担う仕事を行う者のこと。今もボルドーに残る美しい街並みは、18世紀にワイン貿易で大金を得たネゴシアンたちによって築かれました。
しかし19世紀後半、ワイン貿易の拠点だった港が他に移り建物は残されたものの活気は失われていったのです。こうした時代に「眠れる美しき街」と呼ばれるようになったボルドーは、第二次世界大戦で戦場になり街が破壊されるという更なる危機を迎えます。この時街を守り抜いたのが、伝説のネゴシアンと呼ばれるルイ・エシェナウアーでした。自らドイツ軍と連合軍の間に立ち、交渉術を駆使し戦火から街を守ったのです。こうして一人のネゴシアンによって美しい街並みは残され、今では各地から人びとが移り住む憧れの街になったのです。
街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!
「グルメのことなら僕にまかせて!」。今回のナビゲーターは、食いしん坊でおませなファンタンくん。心配でついてきちゃった母親と一緒に「ワインの街」ならではの、とびっきりのスイーツを紹介してくれました!
ボルドーワインのババ
ボルドーワインをぜいたくに使ったババ。ブリオッシュをお酒に漬けこんで作る一般的なババとは違い、ラズベリーや赤いフルーツをボルドーワインに漬け込んで、その中に生地を浸して作る「ワインの街」ならではの一品。たっぷりとトッピングされたチョコとバニラのムースとの相性もバッチリ!
愛のリンゴ
トロトロに柔らかくしたリンゴをスポンジケーキで包み、ぶどうエキスでコーティングした一品。程よい甘みと酸味の調和がたまらないと、女性に大人気のスイーツです。女性の気をひくためにプレゼントとして買っていく男性も多いんだとか。
恋を実らせる?!“愛のリンゴ”、ぜひお試しあれ。
ピナソッテ
かつてガロンヌ川からワインを運んだ船がテーマになったアイス。ピーナッツを絡めたカラメルの船の上に、20種類のアイスをのせたぜいたくな一品。パーティーには、必ずと言っていいほど用意されるというボルドーっ子定番スイーツです。
街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!
今回はボルドーから東へ約2時間、世界的に有名な「ラスコー洞窟」で知られるモンティニャックを訪ねます。
紀元前1万5千年にクロマニョン人によって描かれたというラスコーの洞窟壁画は、1940年に村の少年たちによって偶然発見されました。当初は一般公開されていましたが、世界中から押し寄せる観光客の吸気などにより劣化が激しくなり1963年に閉鎖。現在は、200メートルほど離れた場所にある複製の洞窟を見ることができます。複製といっても、11年かけて洞窟の形も絵の顔料も本物と同じように作られた洞窟は、一見の価値アリです。
案内所で、ラスコーを発見した青年の奥さんが村にいらっしゃると聞き、会いにいきました。ご主人が発見した時に持っていたランプや、本物の洞窟に入った時の貴重な話を聞かせていただきました。「美しさに圧倒されて、涙が止まらなかったのよ」とキラキラした目で語る奥さんの言葉から、今も色あせることのない感動がジンジンと伝わってきました。