2015年2月24日(火) 初回放送
語り:田畑智子
撮影時期:2014年12月
ストラスブールの南、約70キロメートル。ドイツとの国境に位置するフランス北東部のアルザス地方の街、コルマール。かつては戦争によってドイツ領になったり、フランス領になったりと、両国間の歴史に翻弄されました。人口は約6万7000、年間300万人の旅人が訪れています。ストラスブールに比べるとかなり小さい街なので徒歩でどこでもまわれるのが特徴です。
街の南側の運河沿いには、プティット・ヴニーズと呼ばれる、まるでおとぎの国のようなかわいらしい景観のスポットもあります。街なかには、この街出身の芸術家、バルトルディの作品がいくつもあり、芸術に触れることができます。奇跡的に戦火を逃れた街には、のどかで美しい中世の街並みが広がっていました。
ニューヨークにある自由の女神の作者、バルトルディはコルマール出身の芸術家です。自由の女神は、1886年にアメリカの独立100年のお祝いとしてフランスからアメリカに寄贈されました。
バルトルディが銅像の制作に取りかかったのは1874年。この3年前にフランスが戦争に敗れたためコルマールはドイツの領土となっていました。故郷が占領されていたことに心を痛めていたバルトルディは、自由の女神像に「すべての抑圧からの解放、人は自由で平等である」というメッセージとともに「故郷に平和が訪れてほしい」という故郷への思いを込めました。
コルマールにはバルトルディの様々な作品を見ることができます。お越しの際にはぜひご覧になって下さいね!
街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!
今回のナビゲーターは、コルマールのグルメにくわしい、愛妻家のルシアン・ラルブさん。厳選のグルメ・ベスト3を紹介してくれました。みんなの前では「愛妻家」と言っていますが、家では奥さんの尻にしかれっぱなしの様子…。奥さんとのお家での様子を交えながらおいしいグルメを紹介してもらいました。
ベックオフ
塩こしょうで味付けした肉と野菜を白ワインで煮込んだアルザス地方の伝統料理です。アルザスのお母さんたちは、家事をこなしながら畑仕事などをしていました。昔は、忙しいお母さんたちにとって家の火を絶やさないでおくことはお金がかかることでした。倹約家のお母さんたちは、自分たちが仕事をしている間、下ごしらえをした鍋をパン屋さんに預けて煮込んでもらいました。このことがきっかけで、この料理はベックオフ(パン屋の窯)と名付けられました。
タルトフランベ
小麦粉を薄く伸ばした生地に小さく刻んだ玉ねぎやベーコンをのせて焼き上げたアルザス地方の定番料理。ピザのようにみんなでシェアして食べるのが一般的です。レストランのメニューにもありますし、専門の路面店もあります。手軽に食べれるので地元の人に長年愛されています。
クグロフ
発酵させた生地にバターとレーズンを混ぜ込み王冠の型で焼いたアルザス地方の伝統的なお菓子。マリー・アントワネットが大好物だったので、ルイ16世に嫁いだことがきっかけとなってフランスでも大いに知られるお菓子になったといわれています。アルザス地方では日曜日の朝食によく出されており、アルザスのワインとの相性は抜群です!
街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!
コルマールからバスで30分、アルザスワインの名産地リボービレという村を訪れました。村に到着し、村の人にワインを飲めるところを聞こうと思っても全然人がいません。出会ったのは屋根にいたコウノトリのつがいだけ…。途方に暮れていると、やっと村人と出会えました。たずねると「シップさんの醸造所がいいわよ。貯蔵庫も見学できるわ」と教えてもらいました。
教えてもらった通りに歩いて行くとシップさんの醸造所にたどり着きました。シップさんとも会うことができ、やっとアルザスワインを飲める!と思いきや…貯蔵庫の方へ案内されました。たる出しのワインを飲ませてくれるのだろうと楽しみにしていると、貯蔵庫の歴史などを話し始めたシップさん。なかなかワインを飲ませてくれません。その後はブドウ畑へ連れてってくれました。そこではワイン作りへの熱い思いを話してくれました。その後は、ご家庭に招いてくれてやっとワインをごちそうしてくれました。グラスの中で輝くワイン、それはシップさんの愛情がいっぱい詰まっていました。
作り手の愛情を知った後に飲むワインは格別のおいしさでした。