これまでの街歩き

ダブリン リフィー川南岸/ アイルランド

2016年1月26日(火) 初回放送

語り:キムラ緑子

撮影時期:2015年9月

世界地図

地図

場所

 アイルランドの東部に位置するダブリンは人口127万。アイリッシュ海に臨む港湾都市で、古くから政治、経済、文化の中心として栄えてきました。アイルランド人の祖先は、紀元前にこの地にやってきたケルト系の人々で、独自の言葉と文化を持っています。しかし12世紀からおよそ800年の間、イギリスの統治下に置かれました。
 街を歩くと、イギリス支配時代の建物があちこちに見られます。エリザベス一世によって1592年に設立されたアイルランド最古の大学トリニティーカレッジ。18世紀、織物工業が発展し街が大きな繁栄をとげたジョージ王朝時代の建築物。立ち並ぶ建物から街がたどった歴史を伺い知ることができます。アイルランドは1922年にイギリスから自治権を得てからはゲール語が公用語となり、現在、通りの名前はゲール語と英語の2か国語で表記されています。

Information

アイリッシュ・ダンスに隠された歴史

 アイルランドの人々は古くから音楽とダンスを楽しんできました。一般によく知られているのは、足のみで踊るダンスです。その由来には諸説ありますが、イギリスの支配下で言葉やダンスなど独自の文化が抑圧された時代、街を見回るイギリス兵たちに窓からのぞかれても気づかれないよう、足だけで踊る独特のスタイルが生まれたとも言われています。また、19世紀の半ば、アイルランドではジャガイモの病気で大飢きんが起き、100万人以上もの人々がアメリカなどへ移住しました。実はその時、移住したアイルランド人によってタップダンスのもとが作られたと言われています。
 どんな厳しい状況にあってもアイルランドの人たちともにあったダンス。時代を超え、海を越えて引き継がれているのです。

食べ歩きグルメ

街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!

 海に囲まれ、農業も盛んなアイルランド。海の幸も農産物も新鮮な食材を簡単に手に入れることができます。
 美容師のレイチェル・ウォレスさんは、親子3代でダブリンに暮らす生っ粋のダブリンっ子。街のおいしい店は知り尽くしているというレイチェルさんに、今回は、お気に入りのアイルランド料理3品を紹介してもらいます。

ローストラムのコルカノンケーキ添え

アイルランドの代表的な伝統料理の一つ。ラム肉を10時間スープで煮込んだものと、ケールとマッシュポテトを混ぜたものを型に入れてつくったコルカノンケーキをオーブンで焼きできあがり。アイルランドにキリスト教をもたらした聖パトリックの命日、3月17日のセント・パトリック・デイによく食べる一品です。

シーフードチャウダー

新鮮な魚介類をたっぷり入れて作るアイルランドのチャウダーは、タラを入れるのが定番。野菜スープにたっぷりクリームを入れ、魚介類を煮込んだら出来上がり。このお店ではたくさんの魚介類を入れてくれるので味も最高。温かいシーフードチャウダーは寒い日におすすめの一品です!

スモークサーモンとクリームチーズのオープンサンド

アイルランドの神話では、サーモンは「知恵の魚」と言われ、食べると世界の知識が得られるとされています。脂ののったサーモンにさっぱりしたレモンをたっぷりかけ、クリームチーズと一緒に食べるのが人気です。みなさんもサーモンを食べて、世界の知識が手に入るかどうか是非試してみてください!

ちょっとより道

街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!

女海賊の伝説が残る ホース
語り:つぶやきシロー

 ダブリンから電車で30分の場所にある港町ホース。イギリスを恐れさせた女海賊グレース・オマーリの伝説が残るホース城があることで知られています。途中、港で漁師さんに尋ねると、アイルランドがイギリスに支配されていた時代、オマーリは自分の領地を持つ女王だったんだ、と教えてくれました。。
 城に到着し、城主から話を聞くと、オマーリがホース城に来たのは16世紀のこと。食事と船の補給を求めてきたオマーリを、当時のホース卿は追い返したそうです。怒ったオマーリはホース卿の孫を誘拐。かえして欲しければ、今後は予期せぬ客が来ても夕食をもてなすようにと言い、孫を戻しました。以来この城では、予期せぬ客のために椅子とテーブルセットを用意するのが伝統となったそうです。
 オマーリは、イギリス人にとっては恐ろしい海賊でしたが、アイルランドの人たちにとっては英雄だったのです。

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