これまでの街歩き

ダブリン リフィー川南岸/ アイルランド

2016年1月26日(火) 初回放送

語り:キムラ緑子

撮影時期:2015年9月

街の「銅像」

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 ダブリンの街を歩くと、多くの銅像があることに気づきます。道を曲がって、ふと前を見るとまた銅像が。近づくと荷車を押す女性の銅像でした。どう見ても普通の人にしか見えないので、そばにいた若者に聞くと。歴史に名を残す女性の像で、彼女を歌った歌もあると教えてくれました。歌を聞かせてもらうと、ダブリンの街で魚の行商をする女性モリー・マローンの歌でした。実はこれ、「ザル貝とムール貝」という歌で19世紀末に流行。ダブリンでは今でも市民の間で歌い継がれ、誰もが歌うことができるほど人気だそうです。
 働く女性の歌を陽気に歌う若者たちから、故郷に誇りを抱くダブリンっ子の姿を垣間見ることができます。

街の「薬局」

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 街の東側を歩いていると、「スウィニー」と書かれた古めかしい看板を発見。何の店かとショーウィンドウを見ると、古そうな写真に色ガラスの瓶が並んでいるだけ。店の人に尋ねると、19世紀にできた薬局で、アイルランドの偉大な作家ジェームズ・ジョイスの小説「ユリシーズ」に、この薬局が登場するのだと教えてくれました。店に入ると、内装は本当に昔のスタイルのまま。中では「ユリシーズ」の朗読会が開かれていました。
 この薬局は2009年にオーナーが退職した後、コーヒーショップにする話が持ち上がりましたが、小説の世界をそのまま残しておきたいと思う街の人たちがボランティアを募り、運営されるようになったそうです。
 自分たちの文化を大切に守っていきたいと願う街の人々たちの情熱が感じられる場所でした。

街の「古地図屋」

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 再びリフィー川沿いに出て街を歩いていると、道沿いに屋外マーケットがありました。露店にはアクセサリー、帽子、リトグラフ、毛糸のセーターや洋服などが売られていました。
 さらに進んで行くと古地図屋さんを発見。世界地図からアイルランド地図まで、年代物がずらりと飾られていました。その中に、「ダブリンの悪の根源」と書かれた、変わった地図を発見。店主に尋ねると、飲酒に反対していた団体がパブを悪の根源と考えて、1892年にダブリンの全てのパブを記した地図を作ったとのこと。
 アイルランドと言えばパブとビールを思い浮かべる人も多いと思いますが、悪の根源としてマークされるような時期があったとは、驚きの発見でした。

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